トラックの滑り止め金具とは?役割・種類・取付方法を解説

2024年9月16日

トラックの滑り止め金具とは、トラックの荷台をシャーシに固定するための部品です。滑り止め金具が取り付けられていることで、走行中でも荷台がシャーシの上を前後方向に滑らずに、固定された状態を維持できます。

こちらでは、滑り止め金具がどのような部品なのか、詳しく解説します。滑り止め金具の取り付け方法や、取り付ける際の注意点も合わせて解説します。

【この記事で分かること】

  • ・滑り止め金具がどんな部品なのか
  • ・滑り止め金具の取り付け方法
  • ・滑り止め金具の注意点

トラックの滑り止め金具とは

まずはじめに、滑り止め金具の役割と種類について、それぞれ見ていきましょう。具体例として、実際にヤマダボディーワークスが扱っている滑り止め金具も紹介します。

滑り止め金具の役割

滑り止め器具の役割

滑り止め金具は、トラックの荷台が前後方向に移動することを防止するための部品です。

トラックの荷台部分は、基本的にシャーシと呼ばれるトラックの骨格の上に置かれているような構造になっています。走行中に荷台がシャーシの上を動いてしまうと危険なため、荷台は滑り止め金具とシャーシUボルトという部品を使ってシャーシに固定されています。それぞれの役割は以下のとおりです。

  • ・滑り止め金具:荷台が前後方向に動かないように固定するための部品
  • ・シャーシUボルト:荷台が上下方向に動かないように固定するための部品

トラックは加速したときに慣性によって荷台が車両後方に動く力が働き、反対にブレーキ時には荷台が車両前方に動く力が働きます。荷台が滑るとキャビンに衝突したり、シャーシから落ちてしまう危険性があります。そのように荷台がシャーシの上を滑ることを止めるための部品が、滑り止め金具です。

滑り止め金具の種類

滑り止め金具の種類

滑り止め金具は、V字の形状のものや、コの字型など、形状や大きさが異なるさまざまな種類があります。トラックのサイズやシャーシの形状によって、最適な種類の滑り止め金具を選択してください。いずれも、シャーシと縦根太を固定するように取り付けます。

画像の滑り止め金具は、ヤマダボディーワークスで扱っている製品の一部です。なお、ボルトは付属していないため、ご自身で用意していただく必要があります。

>滑り止め金具の商品一覧

滑り止め金具の取り付け方法

滑り止め金具を取り付ける手順は以下のとおりです。

  1. 縦根太とシャーシに1つずつ金具を固定する
    (※V型の滑り止め金具は、金具の穴を利用して縦根太とシャーシにボルトで固定してください)
  2. それぞれの金具をつなぐようにボルトを締め付ける

また、滑り止め金具をシャーシに固定する際には溶接する方法や、シャーシにはじめから開けられている穴を利用する方法があります。

なお滑り止め金具を固定する際は、必ずシャーシメーカーの架装要領書を確認し、シャーシに溶接付けができない場合はボルト止めするようにしてください

滑り止め金具を取り付ける際の注意点

上記で解説したとおり、滑り止め金具はトラックの荷台を固定するための重要な部品であり、適切に取り付けを行わないと大きな事故につながる可能性があります。以下では、滑り止め金具を取り付ける際の注意点を解説します。

シャーシに穴開けをしてはいけない

トラックのシャーシには、ボディ架装や付属品取り付けのために、はじめから不規則に穴が開いています。しかし、必ずしも滑り止め金具の穴と、シャーシに開けられている穴の位置が合うわけではありません。そのため、穴にボルトを取り付けたくても、1箇所しかボルトが通らないということがあります。

そこで滑り止め金具の穴の位置と合わせてシャーシに穴を開けたくなりますが、全てのトラックは設計段階で強度計算された上でシャーシに穴開けをしているため、追加の穴開けが禁止されています

なお、2017年5月以降に発売された日野自動車の大型は、他メーカーとは違い、規則的に穴が空いている仕様です。専用の滑り止め金具も販売されているため、取り付けの際に穴の位置が合わないという問題が起きません。

シャーシに穴開けをしてはいけない

画像の例では、縦付けの場合はP=60mm、斜め付けの場合はP=78mmの滑り止め金具を使うことでシャーシの穴をそのまま利用してボルトで取り付けをしています。Pとは、滑り止め金具に空いている穴と穴の中心の間隔(ピッチ)です。

シャーシとボルトが並行になるように取り付ける

シャーシとボルトが並行になるように取り付ける

縦根太とシャーシにそれぞれ取り付けた滑り止め金具をつなぐボルトは、シャーシと並行になるように取り付けなければいけません

画像左側のNG例のようにボルトを斜めに取り付けてしまうと、ボルトやナットの締付け面に均一に力がかからないため、一部に過大な力がかかってしまいます。結果としてボルトや金具の一部に過度な負担がかかって損傷したり、ボルトが緩みやすくなったりする可能性があります。

滑り止め金具は製品によって穴の位置が異なるため、適切な種類を組み合わせることでボルトを並行に取り付けましょう。製品によってはボルトの位置が調整できるように、穴が長い形状(長穴)になっている場合もあります。

まとめ

滑り止め金具とは、トラックの荷台を前後方向に動かないように固定するための部品です。滑り止め金具があることで、トラックが加速したときやブレーキをかけた際にも荷台が動かず、安全に走行することができます。

滑り止め金具は縦根太とシャーシを固定するように取り付けられており、ボルトや溶接などで固定されています。滑り止め金具は取り付け方法を誤ると重大な事故につながる可能性もあるため、適切な取り付けが重要です。