ダンプのシート掛けは必要?安全に行うための方法を解説
2024年2月26日
ダンプの荷台には、土砂などの積載物が飛散しないよう、ダンプシートを荷台に掛ける必要があります。
ダンプシートは、荷台に上がって手作業でシートを掛けることも可能ですが、危険を伴います。安全性を重視するのであれば、アオリの上部に設置する「シート掛け」の使用がおすすめです。
本記事では、ダンプシートの必要性や使用方法、安全対策について解説したうえで、おすすめの商品を紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
目次
ダンプのシート掛け作業の役割・必要性
ダンプシートとはダンプトラックが土砂や砂利などを運搬する際に、荷物の飛散や落下を防止するためにアオリを覆うシートのことです。荷台にダンプシートを被せずに走行すると、振動や走行風などの要因で積載した土砂が飛散または落下してしまう可能性があり、周囲の交通の妨げになってしまいます。
ダンプシートには一枚の大きなシートを荷台に上がって手作業で掛けるものや、自動シート掛けというアオリの上部に自動で立ち上がるものなど、いくつかのタイプがあります。
また、ダンプカーを運転する際には、積載する土砂や砂利などが落下しないよう、必要な措置を行うことが道路交通法によって義務付けられています。
ダンプのシート掛けに関する法規制
ダンプのシート掛けに関する法規制は、道路交通法で以下のように定められています。ダンプ規制法に定められているという情報も見られますが、正しくは道路交通法です。
第一節 運転者の義務
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
四 乗降口のドアを閉じ、貨物の積載を確実に行う等当該車両等に乗車している者の転落又は積載している物の転落若しくは飛散を防ぐため必要な措置を講ずること。
つまり、自動車(ダンプに限らない)の運転者および使用者には、貨物の飛散を防ぐ措置を行うことが義務付けられています。
必ずしもシート掛けである必要はなく、飛散を防ぐものであれば法令上問題ありません。
ダンプのシート掛け方法・手順
ダンプのシートを手作業で掛ける場合の手順は以下のとおりです。
1.シートの中心を荷台の中心に合わせて置く
シートを持って荷台に上がり、シートの中央と荷台の中央を合わせて置きます。中央を正確に合わせつつ、鳥居部分に被せるシートの長さも考慮しながらシートを被せましょう。シートの位置が大きくずれている場合は、後から修正しなければなりません。
2.折りたたんであるシートを中心線に合わせて後方に広げる
最初にシートを前後方向に広げます。シートの先端を鳥居に被せ、反対側をトラックの後方に広げながらシートを被せましょう。
3.シートを車両側面に広げる
シートが前後方向に広がったら、次に車両の側面にシートを広げます。荷台の側面を向き、片方のひざをつきながら体の前方にシートを広げながら下ろして行きます。
4.ゴム紐をロープフックに引っ掛けて固定する
シートを広げただけではシートがアオリに固定されていないため、シートに付いているゴム紐をアオリのロープフックに引っ掛けて固定します。シートの上面がへこんでいると雨水が溜まってしまうため、中央が高くなるように張りましょう。
ダンプのシート掛け時における安全対策
ダンプのシート掛けは高所作業であり危険を伴うため、しっかりと安全対策を行いましょう。ここでは、シート掛けを安全に行うために、注意すべきポイントを解説します。
荷台では危険な行動を避ける
荷台の上で作業を行う際は、些細なきっかけが原因で落下してしまうことがあるため、危険な行動を把握し、避けることが重要です。
荷台上で作業をする際は、背中を荷台の外側に向けないようにしましょう。また、シートを引っ張る際は、体重を乗せずに体や腕の力を使って引きます。足元に障害物があると、引っかかって落下する可能性もあるため、移動する際は足元に注意することも重要です。
安全床や昇降装置を使用する
そもそも荷台やアオリの上に立って作業をすることが危険なため、ダンプシートを掛ける際に安全床を設置できる場合は、安全床の上に立って作業を行うと良いでしょう。また、荷台へ上がったり降りたりする際に落下するケースもあるため、必ず昇降装置を使用して移動してください。
安全ネットや安全帯を使用する
安全ネットや安全帯を使用することで、落下してしまった際のケガを防ぐことができます。安全ネットとは落下した際に体を受け止めるためのネットのことで、安全帯(墜落制止用器具)は個人の体に装着する命綱のようなワイヤーのことです。
ヘルメットを着用する
高所作業を行う際は、ヘルメットの着用が不可欠です。事故が起きてしまった時に頭部の損傷は重大なケガに繋がりやすいため、必ずヘルメットを装着してから作業を行ってください。
ダンプのシート掛け作業効率化にはシート掛けを活用しよう
ダンプシートを安全かつ効率的に掛けるためには、「シート掛け」の活用がおすすめです。シート掛けとは、名前のとおりダンプシートを掛けるために使われる装置のことで、アオリの上部に設置されています。
シート掛けは大きく分けて2種類に分類され、モーターが併設されておりスイッチ操作のみで開閉を行える「自動シート掛け」と、手動で開閉を行う「手動シート掛け」があります。
なお、一般的に自動シート掛けのことを「コボレーン」と呼びますが、正確にはコボレーンは中播自動車工業株式会社が製造している自動シート掛けの商品名です。コボレーン以外の自動シート掛けとしては、田村総業株式会社の「クイック」があります。ヤマダボディワークスでは、田村総業のクイック直販店として「クイック」の各種パーツを多く取り扱っています。
ここでは、シート掛けに関連するおすすめのパーツを、自動シート掛けと手動シート掛けに分けてご紹介します。
自動シート掛け
自動シート掛けは、車内のスイッチ操作だけでシートの開閉を行える装置です。荷台の上で作業をする必要がないため危険を伴わないだけでなく、ほとんど労力を必要としません。
クイック HB型丸棒アーム HB22-800 (φ22、L=800)
クイックの補修用のパーツで、ダンプのアオリの側面に設置する横付け専用のアームです。以下でご紹介する「クイック H型メタル H-22 φ22 (ニップル無)」と組み合わせて使用してください。
クイック H型メタル H-22 φ22 (ニップル無)
クイックの補修用のメタルです。ダンプのアオリの側面に設置する横付け専用のメタルで、シャフト径:φ22用としてお使い頂けます。「クイック H型アーム 5H-500、H22-800、H22-1200」、「HB型丸棒アーム HB22-800」などと組み合わせることが可能です。ニップルは付属しないため、以下でご紹介する「クイック グリスニップル(M6×0.75)」を別途ご用意ください。
クイック V型アーム 4V-400 (φ22、L=400)
クイックの補修用のアームです。ダンプのアオリの上部に設置する縦付け専用のアームで、シャフト径:φ22、アーム高さ:H400mm用として使用できます。また手動式のダンプシート掛けの部品としても使うことも可能です。「クイック V型メタル 4V-22」と組み合わせて使用してください。
クイック V型メタル V-22 φ22 (ニップル無)
クイックの補修用のメタルです。ダンプのアオリの上部に設置する縦付け専用のメタルで、シャフト径:φ22用として使用できます。手動式のダンプシート掛けの部品としても使用可能です。「クイック V型アーム 5V-500」と組み合わせて使用してください。ニップルは付属しないため、以下でご紹介する「クイック グリスニップル(M6×0.75)」を別途ご用意ください。
クイック カップリング φ22 溝無
クイックの補修用のカップリングです。シャフト径がφ22のシャフト側のカップリングです。減速機側のカップリングとは、専用のボルト・ナットで設置します。
クイック グリスニップル(M6×0.75)
クイックのメタル専用のグリスニップルです。上記でご紹介したクイックのH型メタル、V型メタルなどの各メタルに適合します。グリスポンプなどでグリスを注入する際に接続します。
クイック モーター SSM-73TM (ゴムシール・シールワッシャー・キャップスクリュー付) (E18F用)
クイック E18F型(4tダンプ用)の補修用のモーターです。モーターが故障した際の補修パーツとしてお使いいただけます。モーター交換に必要なゴムシール・シールワッシャー・キャップスクリューも付属しています。
クイック 操作スイッチ EF-25 (E25F用)
クイック E25F型(大型ダンプ用)の補修用の操作スイッチです。操作スイッチが故障した際に、補修パーツとしてご使用いただけます。
手動シート掛け
ヤマダボディーワークスでは、中型・小型ダンプで使用される手動のシート掛けのためのパーツも販売しています。手動のシート掛けは、自動シート掛けと比較すると設置や補修の費用が安価であるというメリットがあります。
田村総業のクイックの同様の部品を応用して手動シート掛けに使用する方もいますが、手動用の製品の方が安価なためおすすめです。また、以下で紹介する商品は、ヤマダボディーワークスでしか取り扱いがありません。
手動式 メタル 5V-φ22 ニップル無 (54908-A4)
手動シート掛け専用のメタルです。ダンプのアオリの上部に設置する縦付け専用のメタルで、シャフト径:φ22用として使用できます。以下でご紹介する「手動式 丸棒アーム 5V-φ25 L=500 (53358-A3)」と組み合わせて使用してください。
自動シート掛けには対応していないため、クイックには絶対に使用しないでください。また、グリスニップルは付属していません。
手動式 メタル 4V-φ22 (54907-A4)
手動シート掛け専用のメタルです。ダンプのアオリの上部に設置する縦付け専用のメタルで、シャフト径:φ22用として使用できます。以下でご紹介する「手動式 丸棒アーム 4V-φ22 L=400 (53359-A3)」と組み合わせて使用してください。
自動シート掛けには対応していないため、クイックには絶対に使用しないでください。また、グリスニップルは装着できません。
手動式 丸棒アーム 5V-φ25 L=500 (53358-A3)
手動シート掛け専用のアームです。ダンプのアオリの上部に設置する縦付け専用のアームで、開けた時にアオリと平行になるようにアームが曲がっています。高さ:500mm用で、シャフト径:φ22用として使用できます。上記の「手動式 メタル 5V-φ22 ニップル無 (54908-A4)」と組み合わせて使用してください。
自動シート掛けには対応していないため、クイックには絶対に使用しないでください。
手動式 丸棒アーム 4V-φ22 L=400 (53359-A3)
手動シート掛け専用のアームです。ダンプのアオリの上部に設置する縦付け専用のアームで、開けた時にアオリと平行になるようにアームが曲がっています。高さ:400mm用で、シャフト径:φ22用として使用できます。上記の「手動式 メタル 4V-φ22 (54907-A4)」と組み合わせて使用してください。
自動シート掛けには対応していないため、クイックには絶対に使用しないでください。
ダンプのシート掛け:まとめ
ダンプシートは荷台に上がって手作業で掛けると危険を伴うだけでなく、時間や労力を必要とします。シート掛けを活用することで、安全で効率的に土砂の飛散を防ぐことが可能です。
ヤマダボディーワークスでは田村総業の直販店として、代表的な自動シート掛けのひとつである「クイック」の関連パーツを多く取り扱っています。当社でしか扱っていない部品もあるので、クイックの補修や設置の際はぜひご活用ください。