燃料タンクのユニットゲージとは?役割・選定方法・取付時の注意点
2025年2月14日
トラックの燃料タンクには、ユニットゲージという燃料の残量を測定する部品が取り付けられているのが一般的です。ユニットゲージが正常に機能しないと、実際の燃料残量と燃料計の表示に誤差が出てしまい、突然ガス欠になってしまう危険性があります。
こちらでは、ユニットゲージの基本的な役割や適切な選定方法を解説します。ユニットゲージはトラックが安全に走行するためにとても重要な部品なので、ぜひ参考にしてください。
目次
ユニットゲージの役割
ユニットゲージとは、燃料タンクの中に入っている部品で、燃料の残量を測定する役割があります。ユニットゲージが読み取ったデータをメーターに送り、燃料計に表示させることで、運転者は燃料の残量を確認できます。
そのため、ユニットゲージと燃料計は同期している必要があり、その際に重要なのがユニットゲージの抵抗値です。ユニットゲージには、燃料の残量に合わせて抵抗値が変化する可変抵抗器という部品が備えられています。その抵抗値のデータをメーターに送り、メーターが抵抗値の変化から演算を行うことで、燃料計に残量を表示させる仕組みです。
しかし、ユニットゲージの抵抗値は全ての車両で同一ではありません。車両によって違いがあるため、必ず車両(燃料計)に合う抵抗値を持つユニットゲージを取り付ける必要があります。誤ったユニットゲージを取り付けてしまうと、実際の残量と燃料計の表示にずれが出てしまいます。
ユニットゲージの選定方法
上述したとおり、ユニットゲージは車両に適合するものを取り付けないと、燃料計に正しい残量を表示できません。そのため、ユニットゲージの選定は非常に重要です。
ここからは、ユニットゲージを選定する具体的な方法を解説していきます。
車両情報と燃料タンクから選定する
ユニットゲージを選定するためには、取り付ける車両について以下の情報が必要です。
- ・車両情報(取り付け車種、年式、型式)
- ・燃料タンクの型番
- ・ユニットゲージにつながる配線の本数(2本か3本か)
車両情報(取り付け車種、年式、型式)
ユニットゲージを選定する際に、正しい車両情報を把握することは非常に重要です。
いすゞ自動車の中型トラック「フォワード」を例に見ると、同じ車種でも年式が違うと適合するユニットゲージが異なることがわかります。さらに、同じ年式(H19年1月)の中でも、型式の先頭の排ガス型式が「ADG」か「PDG」のどちらかによって、適合するユニットゲージが異なります。
このように、車両情報の少しの違いから、取り付けるべきユニットゲージの種類が分かれるため、選定時はメーカーに車両情報を誤りなく伝えることが必要です。
「車両情報」は自動車検査証(車検証)に記載されているので、必ず事前に確認しましょう。登録前の新車で車両情報が分からない場合でも、メーカーに問い合わせるなどの方法で車両情報を調査します。
燃料タンクの型番
「燃料タンクの型番」は、タンクに貼ってあるシールを見ることで確認できます。
シールが読み取れない場合は、タンクのサイズやステー間隔からメーカー名と型番を予測できます。
ユニットゲージにつながる配線
ユニットゲージにつながっている「配線の本数」は、現車を確認する方法が最も確実です。
配線が3本ある場合は、残量のデータを送る配線(2本)に加えて、残量警告灯の配線が備えられています。配線の本数によってコネクタの形状や配線の位置が異なる可能性があるため、正しい本数を把握することが重要です。
これらの情報をメーカーに伝えることで、適合するユニットゲージを選定してもらえます。
車両情報から選定ができない場合
まれに車両の年式がかなり古くなっていて、車両情報が分かっても、メーカーで適合するユニットゲージを特定できない場合があります。その際は、現車にユニットゲージを取り付け、燃料計の作動を確認しながら選定を行います。
具体的には、ユニットゲージを燃料タンクの中に入れず、車両配線だけを接続する方法です。1人がユニットゲージのフロート(燃料に浮かぶ部品)を手で動かして燃料の増減を疑似的に再現し、もう1人がキャビンで燃料計の表示を確認します。
フロートを「F(フル)」、「1/2」、「E(エンプティ)」の位置に動かし、燃料計の表示がフロートの位置と正しく同期していれば、車両と適合していると判断できます。
燃料タンク増設時のユニットゲージの取り付け方と注意点
トラックは一度の給油でより長い距離を走行できるように、燃料タンクを増設することがあります。増設時にユニットゲージの取り付け方や増設方法自体を誤ると、燃料の残量を適切に計測できなくなるため注意が必要です。
>トラックの燃料タンクは増設できる?関連する規制や注意点を解説
2つのタンクの上辺の高さを合わせる
複数のタンクを取り付ける際は、必ず全てのタンクの上辺が同じ高さになるように設置します。
異なる高さにしてしまうと、低く設置したタンクの上辺までしか給油できません。それ以上給油すると、燃料が溢れてしまい、全てのタンクを満タンにすることもできません。
増設したタンクの容量を全て使えないだけでなく、給油の際に溢れるリスクもあるため、タンクの上辺を合わせることが重要です。
高い方のタンクにユニットゲージを設置する
燃料タンクが複数ある場合は、ユニットゲージを高さ(深さ)があるタンクに取り付けます。
低い(浅い)方のタンクに取り付けてしまうと、正確に残量を測定することができません。低いタンクが空になっても、もう片方のタンクに燃料が残っていますが、ユニットゲージはE(エンプティ)の位置まで下がってしまうため、最後まで測定できなくなってしまいます。
2つのタンクの高さが同じ場合は、純正タンクのユニットゲージを使用します。
高さがあるタンクから燃料を供給する
燃料の供給も高さがあるタンクから行います。低い方のタンクから供給すると、全ての燃料を消費できません。
また、ユニットゲージがないタンクから燃料供給を行うと、実際の燃料残量とメーター表示に誤差が発生することがあります。燃料タンクの高さが異なる場合、燃料の供給とユニットゲージの取り付けは、どちらも高さのあるタンクで行うのが原則です。
複数のタンクの高さが同じ場合は、純正タンクのユニットゲージを使用するため、燃料の供給も純正タンクから行います。
まとめ
ユニットゲージは、燃料タンクの残量を測定している部品です。ユニットゲージとメーターの燃料計が同期していることで、運転者は残量を確認することができます。
ユニットゲージは選定や取り付けを正しく行わないと、正確な残量を燃料計に表示できません。そのため、ユニットゲージは慎重に取り扱う必要があります。
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