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トラックの燃料タンクは増設できる?関連する規制や注意点を解説

2024年3月18日

トラックの燃料タンクは増設することができ、一度に給油できる燃料の量を増やすことが可能です。トラックは比較的長距離の走行が多いため、燃料タンクを増設すればドライバーの負担を軽減できます。

しかし、燃料タンクの増設は、適切に行わなければ違法になったり、事故の原因になったりする可能性もあるため、注意が必要です。本記事では、燃料タンクを増設するための注意点について詳しく解説します。

ヤマダボディーワークスでは様々な燃料タンクの部品を取り扱っています。ぜひご活用ください。


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トラックの燃料タンク増設に関する重要な注意点

トラックの燃料タンクの増設を行う際の注意点は以下のとおりです。

  • ・燃料タンクの増設は新規登録前に行う
  • ・燃料タンクを増設したら構造変更が必要
  • ・燃料タンクの交換が出来ない車種がある
  • ・増設には技術が必要で手順を誤ると事故につながる危険がある

守らないと違法になってしまったり、重大な事故に繋がったりする可能性があるので、ぜひ参考にしてください。

燃料タンクの増設は新規登録前に行う

燃料タンクの増設は、新規登録前に行うのが無難です。トラックの燃料タンクの個数と容量は自動車検査証に記載されており、実際の車両は自動車検査証に記載された通りの仕様でなくてはいけません。

登録後の車両の燃料タンク増設を行うと、自動車検査証の記載内容と相違が出るため、そのままトラックを使用すると違法となってしまいます。

実際に、過去にトラックの荷台を製造する車体メーカーが、新規登録後に燃料タンクを増設して違法に最大積載量を水増ししていた事例があります。平成17年末ごろから相次いで不正が発覚し、国土交通省により摘発されました。摘発を受けて新車登録時の燃料タンクの容量は車検証記載事項となり、合わせて新規登録時にはデジカメで燃料タンクの初期状態の記録が必要になりました。

燃料タンクを増設したら構造変更が必要

新規登録後のトラックの燃料タンクを増設する場合は、構造等変更検査の手続きが必要です。構造変更とは自動車の大きさや乗車定員、最大積載量といった比較的大きな改造をした際に、構造等変更検査を受けて自動車検査証の内容を書き換えることです。

燃料タンクの個数や容量も自動車検査証に記載されているため、個数や容量を変更した際は構造変更が必要です。自動車検査証に記載の内容と、実際の車両が異なった状態で使用すると違法となります。

また、燃料タンクを増設すると、増設した分のタンクの重量と中に入れる軽油の重量分だけ車両が重くなります。例として200Lのタンクを増設した場合、軽油の比重である0.8を掛けて200L×0.8+50Kg(燃料タンクセットの重量)で、約210kg重くなります。燃料タンク増設分の重量が増えることで、車両総重量を超えてしまう場合は、最大積載量を減らす必要があります

燃料タンクの交換が出来ない車種がある

トラックのなかには、燃料タンクの交換や増設ができない車種があります。トラックの架装の種類は多岐にわたりますが、荷台下のスペースが十分に確保できないものの場合、燃料タンクの増設はできません。さらに、燃料タンクは車両との適合確認が非常に難しいので、適切な燃料タンクを購入しないとトラックに合わない可能性があります。

また、トラックの燃料タンクは車両火災防止協定規則により、燃料漏れ防止基準(UN-R34)という基準改正が行われています。認可年月日が2018年9月1日以降の新型車には、新基準の燃料タンクを取り付けなければいけないため、形状や大きさが問題ないとしても旧基準のタンクを使用すると違法になってしまいます。

増設には技術が必要で手順を誤ると事故につながる危険がある

トラックの燃料タンクはデリケートな部品であり、車体のねじれなどの影響で損傷しないようにステーとバンドで固定されているため、取り付けには技術が必要です。

また、燃料タンクはトラックとの適合確認が非常に難しく、誤った部品や取り付け方法で作業してしまうと事故に繋がる可能性があります。正しいユニットゲージ(燃料の残量を計測する装置)を装着しないと、残量計が燃料があることを示しているのにガス欠してしまうなど、重大事故の原因になりかねません。
ユニットゲージは、車種や年式により抵抗値の仕様が全て違うため、専門の業者でないと適合の確認は困難です。

ヤマダボディーワークスでは、構造変更を行えて自社で責任を持って取り付けできる「整備工場様」「架装工場様」にしか燃料タンク本体の販売をしておりません

トラックの燃料タンクの増設に関する規制

トラックの燃料タンクは増設することが可能ですが、無制限に増やせるわけではありません。消防法により、トラックに搭載できる軽油は1,000リットルまでと定められています。

1,000リットル以上の燃料を搭載するには特別な許可が必要になることや、実際にそれ以上必要になるケースが少ないため、実質1,000リットル以上になる改造はできないと考えて良いでしょう。

トラックの燃料タンクを増設をするメリット

トラックの燃料タンクを増設するメリットは、一度に多くの燃料を給油できるようになることです。給油を行う回数を減らせるため、ドライバーの負担が軽減します。

トラックは乗用車と比べると燃費が劣り、大型トラックになると4〜5km/L程度です。高速道路や郊外では数十km先までガソリンスタンドがないこともあるため、燃料タンクの容量が大きいことで燃料切れのリスクを減らすこともできます。

トラックの燃料タンク増設をするデメリット

トラックの燃料タンクを増設する際のデメリットは、最大積載量が減ってしまうことです。トラックのような貨物自動車の重量は、以下のように計算されています。

車両総重量=定員重量(55kg/1人)+ 車両重量+最大積載量

車両総重量の計算式
画像引用元:車両総重量と積載量 | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association

定員重量と車両重量と最大積載量の合計は、車両総重量を超えてはいけません。燃料タンクや軽油の重量は車両重量に含まれているため、燃料タンクの増設を行うと車両重量が重くなります。車両重量が重くなった分の最大積載量を減らす必要があるのです。

トラックの燃料タンクを増設する際に必要な部品

トラックに複数の燃料タンクを設置する際は、燃料タンク本体だけでなくタンク同士を繋ぎ合わせるための部品が必要です。燃料タンク同士はホースで繋がれており、ホースの端には経路を開閉するための燃料コックが取り付けられています。

複数の燃料タンクが取り付けられている場合、燃料を満タンに給油した直後に傾斜のある道路に移動すると、片方のタンクに燃料が流入して溢れてしまうことがあります。そのため、ホースには経路を開閉するための燃料コックを取り付ける必要があります。以下では、燃料タンク増設に必要な燃料コックやアダプターを紹介します。

燃料コック 16mm ロング

燃料コック16mm

「燃料コック16mm ロング」は燃料タンクとホースを繋ぐための部品で、タンクに接続する部分のネジ径が16mm、ピッチが1.5となっています。コックを回すことで、経路の開閉を行うことができます。

16mmの燃料コックは、一般的に燃料タンクの横面でタンク同士を連結する為の製品です。隣り合う燃料タンクに対して、ホースニップルを対面するように燃料コックを設置しますが、タンクの縁にホースニップルが当たらないようにロング型になっております。


燃料コック 16mm ロング

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燃料コックアダプター 16×16mm

燃料コックアダプター

「燃料コックアダプター 16×16mm」は、ネジ径16mm、ピッチが1.5の燃料コックの長さを延長するための部品です。「燃料コック16mm ロング」のようなロング型の燃料コックを使用してもホースニップルがタンクの縁に干渉してしまう場合は、「燃料コックアダプター 16×16mm」をスペーサーとして繋げることで接続できる場合があります。


燃料コックアダプター 16×16mm

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可変式燃料コック 16mm

可変式燃料コック

「可変式燃料コック 16mm」は、燃料タンクとホースを繋ぐための部品で、ホースニップルの向きが変えられるという特徴があります。上記の「燃料コックアダプター 16×16mm」を接続しないと構造的に燃料コックを取り付けられないが、燃料漏れなどを理由に避けなければならない場合には、「可変式燃料コック 16mm」を使うのがおすすめです。


可変式燃料コック 16mm

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燃料コック 18mm ショート

燃料コック18mm

「燃料コック 18mm ショート」は、燃料タンクとホースを繋ぐための部品で、タンクに接続する部分のネジ径が18mm、ピッチが1.5となっています。一般的に18mmの燃料コックは、燃料タンクの底面に取り付けて使用します。トラックがバウンドしても燃料コックが引っかからないように、ショート型になっています。


燃料コック 18mm ショート

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まとめ

トラックは燃料タンクを増設することで、一度に給油できる量を増やすことが可能です。ただし、新規登録後の車両は構造等変更検査の手続きが必要だったり、トラックと燃料タンクの適合性の判断が難しかったりするため注意点を守りながら行う必要があります。

ヤマダボディーワークスでは、構造変更を行え自社で取り付け出来る「整備工場様」「架装工場様」へは、燃料タンク本体の販売も行っています。ご希望の場合は問い合わせフォーム、またはお電話(054-261-7748)にてお問い合わせください

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