トラックへのフロアーフックの取付方法・手順と注意点まとめ
2024年12月16日
フロアーフックは、トラックの荷台の床に取り付けられたフックです。このフロアーフックにロープやベルトを引っ掛けることで、積み込んだ荷物を固定できます。
フロアーフックを新たに取り付けるためには、荷台の床板に穴を開けて、はめ込まなければなりません。
こちらでは、フロアーフックの概要を解説したうえで、取り付けられる位置や、取り付けの手順、注意点などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
トラックのフロアーフックとは?
トラックのフロアーフックとは、トラックの荷台の床面に左右均等に設置されているフックのことで、荷物を固定するために使われます。フロアーフックにロープやベルト、フックなどを引っかけることで、荷物が走行中に動かないように固定できます。
フロアーフックは荷台の両サイドに複数取り付けられますが、取り付けの位置や個数はトラックごとに異なります。
また、フロアーフックはロープなどをかける部分である「リング」、リングを載せる「皿」、リングをさらに固定するための「押金」といった部品で構成されています。
フロアーフックを取り付けられる場所
画像引用元:ボディの各部の名称 _ 全日本トラック協会 _ Japan Trucking Association.html
トラックの荷台の中でフロアーフックが取り付けられる場所は、床板の下に「横根太」がある部分に限られます。フロアーフックは、ボルトを横根太に通して固定して使用する製品だからです。
横根太とは、荷台の下に横方向に並べられた棒状の部品であり、荷台を支える役割があります。横根太は荷台の下に一定の間隔を開けて設置されているため、荷台の下には横根太が通っていない部分もあります。横根太がない部分の床板には、フロアーフックの取り付けができません。
フロアーフック取り付け手順
フロアーフックを取り付けるためには、上の画像のような、フロアーフックをはめ込むための穴を床板に開ける必要があります。穴開けは以下の手順で行います。
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1.床に埋め込む部分の型を作成する
2.型を使ってフロアーフックを取り付ける部分に罫書き(けがき)を行う
3.ドリルで電動ジグソーの歯が入るサイズの穴を、横根太の位置を避けながら開ける
4.電動ジグソーで横根太の左右の床板を切り抜く
5.横根太の部分の床板の釘を抜き、残った床板を鑿(のみ)で切断する
6.フロアーフックを穴に設置して、フランジ部分の罫書きを行う
7.フランジの厚み分の床板をグラインダーなどで削る
8.フロアーフックの上部が床板より高くなってしまう場合は、その高さ分横根太を削る
穴の位置や大きさを誤ると、フロアーフックを取り付けられないだけでなく、元に戻せないため、穴開け作業は正確に行わなければいけません。また、フロアーフックの高さと穴の深さが合っていないと、設置したフロアーフックが床面より高くなってしまい、足を引っかけて転倒する危険性があります。
床板の穴開けが完了したら、穴にフロアーフックを入れ、ボルト・平ワッシャー・スプリング・ナットを使い、フロアーフックを取り付けます。以下の画像のように、横根太を貫くようにボルトを入れ、反対側からナット・スプリング・平ワッシャーなどで固定します。
床板は補強しないと抜け落ちることがある
床板が大板の場合は問題ありませんが、一枚物ではない床板(アピトン床材など)の場合は、床板に穴開けをすると床板が抜け落ちてしまうことがあります。そのような床の場合は、フロアーフックの下に鉄板を入れるなどの補強をする必要があります。
なぜ穴を開けると床板が抜け落ちてしまうのかというと、床板が横根太によって支えられているためです。
フロアーフックを取り付ける際には、荷台前後の横根太の床板に穴を開けなければなりません。その結果、フロアーフックを取り付けた荷台前後の横根太間の床板には支えがない状態となるため、床板に人が乗ったり、荷物を載せたりすると、床が抜け落ちてしまうのです。
補強するためにはさまざまな方法があります。上の画像は「ハット型補強」といい、補強材が帽子(ハット)のような形をしていることが名前の由来です。横根太の下から補強材を入れることで、補強材が横根太の代わりに床板を支え、床板が抜けることを防ぎます。
このような補強の方法は、一枚物の床板でも使用することがあります。近年のトラックの横根太材質は、横根太の強度が低い合板(アピトンの無垢材ではなく)の場合が少なくないためです。「ハット型補強」を行えば、フロアーフックからの引っ張り荷重を、横根太だけでなく床板も含めて支えられるため、十分な強度を確保できます。
まとめ
フロアーフックとは、トラックの荷台の床面に取り付けられているフックのことです。フロアーフックにロープやベルトなどを引っかけることで、荷物を固定できます。
フロアーフックを取り付けられる場所は、床板の下に横根太がある部分だけです。設置する際には、床板に穴開け加工を行い、フロアーフックと床面が平らになるように取り付けます。
大板ではない床板の場合、穴開けをすると横根太との接点がなくなってしまい、床板が抜け落ちることがあります。フロアーフックの下に鉄板を入れるなどの補強を、必ず行ってください。