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トラックにおけるボルト、ナット、スプリング、平ワッシャーの種類

2025年1月8日

トラックに使われるボルト、ナット、ワッシャーには、それぞれいくつかの種類があります。この記事では、ボルト、ナット、ワッシャーの種類と特徴について解説します。

ボルトの測定方法や、ボルトとナットを適合させるための注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。


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トラックに使われるボルト

トラックに使われているボルトは、各部位の形状によっていくつかの種類に分けられます。分類方法は、次の3つです。

  • ・頭の形状の違い
  • ・全ネジと半ネジの違い
  • ・先端の形状の違い

それぞれの特徴や用途を詳しく見ていきましょう。あわせて、種類ごとの寸法の測り方も解説します。

ボルトの種類(頭の形状の違い)

ボルトの種類
トラックに使われるボルトは、頭の形状によって以下の6種類に分けられます。

  • 角ボルト:頭の形状が正六角形のボルト。一般的に「ボルト」というと角ボルトを指すことが多い。メガネレンチやスパナなどの工具を使って強く締め付けることが可能。
  • トラスボルト:頭の形状が丸いボルト。角がないため、人やものが触れても引っかかりづらく安全。座面が広いため、薄い素材でも安定して固定できる。
  • 鍋ボルト:頭が鍋をひっくり返したような形状をしているボルト。アオリの当たりゴムを固定する際によく使われる。
  • 皿ボルト:頭の上面が平らで、座面が円錐形をしているボルト。荷台の床面など、ボルトの頭を埋めて平面にそろえたい場合に使われる。
  • フランジボルト:頭の下に「フランジ」と呼ばれる円形のつばがあるボルト。フランジがワッシャーの代わりとなるため、ワッシャーを組み込む必要がない。
  • 根角ボルト:頭が丸く、付け根に四角柱がついているボルト。

なお、フランジボルトは、さらに2種類に分けられます。フランジに「セレート」と呼ばれる凹凸が付いているタイプと、セレートがない平らなタイプです。セレートありのフランジボルトはフランジが部材に食い込むため、緩み防止の効果があります。セレートがないフランジボルトは、座面面積を大きくしたい場合や、当たり面を傷つけたくない場合などに適しています。

ボルトの全ネジと半ネジ

ボルトの全ネジと半ネジ
ボルトはネジ山が切られている範囲によって、「全ネジ」と「半ネジ」に分かれます。ボルトの先端から頭の真下まで全ての範囲でネジ山が切られているものが全ネジ、先端から半分程度しかネジ山が切られていないボルトが半ネジです。

全ネジは締め込んだときにボルト全体で強度を分担できるため、高い引抜力(ボルトを引き抜くときに抵抗する力)を持つことが特徴です。重いものや強度が必要な場所で使われます。

半ネジはネジ山を切っていない部分があるため軸方向の強度が高く、引寄力(部品同士を引き寄せる力)が強いことが特徴です。シャーシUボルトのように部品と部品をすき間なく締結したいときに使われます。


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ボルトの先端の形状の違い

ボルトの先端の形状の違い
ボルトは先端(ネジ山部分)の形状によって、3種類に分類されます。

「通常」のボルトは、同じ径かつ同じピッチのネジ穴に使用できるボルトです。トラックのエンジンやシャーシなどの構成部品には、ほとんど通常のボルトが使われています。

「Aタッピング」は先端が鋭い形状をしているボルトで、木材にねじ込んで締め付けるときなどに使われます。部材にネジ山が切られていなくても、下穴を開けるだけで自分でネジ立てができる点が特徴です。

「C1タッピング」は、金属を削りながら締め付けられるボルトです。先端に、金属を削るための切り欠きがあります。ドリルで下穴を開けた金属に、C1タッピングを締め込むことで削りながら締め込みが可能です。

ボルトの寸法の測り方

ボルトの寸法の測り方

ボルトの規格は「径(mm)×首下(mm)」で表わされます。径はボルト部分の直径、首下はボルトの頭から下の長さです。例えば、「8×60」と表示されている角ボルトは、径が8mm、頭の長さを除いた残りの長さが60mmとなります。

ただし、皿ボルトだけは全長が規格上の長さとなります。皿ボルトだけは頭部が部材に埋まるため首下がありません。規格上の長さは、全長を用いて「径(mm)×全長(mm)」で表わされます。

「8×60」と表示されている皿ボルトの寸法は、径が8mm、頭を入れた全長が60mmです。

トラックに使われるナット、ワッシャー

トラックに使われるナット、ワッシャー
トラックのナットには、主に以下の6種類が使われています。

  • 六角ナット一種:片面だけが面取りされたナット。「ナット」というと一般的にこの六角ナット一種を指す。
  • 六角ナット三種:両面が面取りをされているナット。厚みがないためスペースが狭い場所に使用できる。
  • フランジナット:六角ナットにフランジ(つば)が付いたナット。座面にセレートがあるタイプと、セレートがないタイプがある。
  • 袋ナット:片側に半球形の覆いがあり、穴が貫通していないナット。安全性と装飾性に優れ、「化粧ナット」や「装飾ナット」とも呼ばれる。
  • 蝶ナット:工具を使わなくても、手で締めたり緩めたりできるナット。工具を使わないため強力に締め付けることはできないが、容易に脱着が可能。
  • 爪付ナット:締め込んだ際に、部材に食い込む爪が付いているナット。緩み防止効果があり、振動や外力に強い。木材のような爪が食い込む部材に使われる。

トラックに使われるワッシャーは、主に以下の2種類です。

  • スプリング:一部が切られており、段差が付いた形状のワッシャー。ボルトに入れて締め付けると切り口が変形し、バネ作用の反発力によって緩み防止になる。「スプリングワッシャー」とも呼ばれる。
  • 平ワッシャー:平らな形状のワッシャー。ボルトやナットの当たり面が大きくなるため、締結部の安定効果や座面の陥没防止効果がある。

トラックのボルトの硬さ

トラックのボルトの硬さ

ボルトは鋼材の種類や製造法、熱処理の方法などによって硬さ(強度)が異なります。ボルトの用途にしたがって、適した強度のボルトを選択しましょう。

ボルトの強度は「強度区分」で表されます。鉄製かステンレス製かで表示方法が異なりますが、いずれも引張強さ(破壊されるまで引っ張った時の力の強さ)の数値が強度の目安となります。

鉄製ボルトの強度区分

鉄製ボルトの強度区分は、JIS規格によって「3.6 / 4.6 / 4.8 / 5.6 / 5.8 / 6.8 / 8.8 / 9.8 / 10.9 / 12.9」の10種類に分けられており、数字が大きいほど強度が高くなります。

強度区分の1番目の数字(小数点の前の数字)は引張強さ、2番目の数字(小数点の後の数字)は降伏点を表しています。降伏点とは、締め付けたボルトが伸びきって、元に戻る力を失ってしまう強さです。

強度区分が「4.8」の場合、引張強さは400N/㎟、引張強さの80%の320N/㎟が降伏点となります。1Nは約0.1kgfなので、このボルトは有効断面積1㎟あたりおおよそ40kgまで切れず、8割の32kg程度までは伸びても元に戻るということです。

ステンレスボルトの強度区分

ステンレスボルトの強度区分は「A2-80」のように表示されます。ハイフンの前のアルファベットと数字は鋼種区分を表しています。A◯はオーステナイト系、C◯はマルテンサイト系、F◯はフェライト系のステンレスです。

ハイフンの後の数字は、鉄製ボルトの場合と同様、引張強さを表しています。

ボルト・ナットのピッチ

ボルト・ナットのピッチ

ボルトやナットに切られている、ネジ山の間隔をピッチと呼びます。ピッチは「1.25」や「1.5」のように表示され、ネジのとなり合う山と山の間隔をmm(ミリメートル)で表してるものです。

ボルトとナットは同じピッチでないと使用できないため、異なるピッチを使用した場合、ボルトはナットに入りません。ピッチは「ピッチゲージ」という道具で測定することができます。ピッチゲージのギザギザになっている部分をネジ山に当て、ネジ山とピッチゲージの形がピッタリと合うサイズを読み取ります。

ボルトのサイズに関する注意点

ボルトのサイズに関する注意点

ボルトの規格は「径(mm)×首下(mm)」で表されると上述しましたが、ボルトやナットの規格はミリサイズではなくインチサイズで表記されていることもあります。ミリサイズとインチサイズのボルトとナットの組み合わせは、径が合わないため使用できません。

1インチは約25.4mmなので、例えばボルトに「1/2×195」と表記されている場合の径は、約12.7mmです。このボルトに、ミリサイズで径が12mmのナットを組み合わせることはできません。インチサイズで径が「1/2」のナットを用意する必要があります。


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トラック業界では、インチサイズで表記されているものが多いため、ミリサイズと混同しないよう注意してください。

まとめ

トラックで使われるボルト、ナット、ワッシャーにはさまざまな種類があります。形状や強度によって適した場所が異なるため、適切に使い分けましょう。

また、トラックではボルトやナットの規格がインチサイズで表記されていることが多く、ミリサイズの規格のものとは合わない点に注意が必要です。

ヤマダボディーワークスでは、さまざまな種類のボルトやナットを扱っています。ぜひご活用ください。


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