ラッシングベルトの使い方を間違えると危険!正しい手順や注意点を解説
2023年2月20日
ラッシングベルトとは、トラックの貨物を固定するために使用する道具です。ラッシングベルトを使用することで、少ない力でも簡単に貨物を固定することができます。
本記事では、ラッシングベルトの使い方や、使用時の注意点などを解説します。
目次
ラッシングベルトの基本的な使い方
ラッシングベルトの「ラッシング(lashing)」とは、紐やベルトなどで縛ることを意味する言葉です。ラッシングベルトはその名の通り、トラックに積載した荷物を縛り、固定するために使います。
運転中に、荷台の中で荷物が動いたり、倒れたりする事態を防ぐために、ラッシングベルトは欠かせません。ただし正しく使わないと、運転中に固定が緩み、トラブルにつながる恐れもあります。
ここでは、ラッシングベルトの通し方や締め方(巻き方)、ほどき方といった基本的な使用手順をご紹介します。
ラチェット式ラッシングベルトの締め方
ラッシングベルトは構造の違いによって「カム式」と「ラチェット式」という種類があります。ここではトラックの貨物の固定によく使われる「ラチェット式」について解説します。
ラチェット式は、バックル部分に回転軸が付いた歯車と、回転させるためのハンドルが付いた構造になっています。ハンドルを往復させるだけで回転軸がベルトを巻き取り、少ない力でベルトを強力に巻き取ることができます。
手順①:バックルにベルトを通し、トラック荷台へ引っかける
巻取側のベルトがバックルから外れている場合、まずはベルトをバックルに通す必要があります。
バックルを開いた状態にし、巻取側ベルトの端をバックルの回転軸の穴に通します。ベルトを折り返し、回転軸の上の穴を通せば完了です。最初からベルトとバックルがセットされているのであれば、この行程は不要です。
次に、ラッシングベルトの両端をラッシングレール、もしくは床フックなどに固定します。
このとき、バックルのハンドル部分が外側(貨物の反対側)に向くように、ラッシングベルト全体の向きに注意して取り付けてください。
手順②:ベルトを手で引っ張りたるみをなくす
最初は巻き取り側のベルトが大きくたるんでいるため、ベルトを手で引っ張り、たるみをなくしておきます。バックルを開いた状態にすると巻取側のベルトが動くので、ベルトの端を手で引っ張ることでたるみをなくせます。
最終的にはハンドルを往復させてベルトを巻き取りますが、1回の往復で巻き取れる長さが少ないため、この行程でたるみをなくしておくことで後から作業が楽になります。
手順③:ハンドルを3回程度往復させて固定する
バックルのハンドルを往復させるとベルトが巻き取られ、貨物を固定できます。このとき、ベルトの巻き取りが少なすぎると貨物の固定が弱くなるため、運転中に貨物が動いてしまう原因となります。逆に強く締めすぎると、貨物が損傷したりベルトを緩められなくなったりするトラブルにつながります。
目安としてはハンドル3往復ほどですが、締め付けたらベルトを手で触り、適切な張り具合になっているかを確認しましょう。ベルトを締め終わったら、ハンドルをたたみます。
余ったベルトの結び方
余ったベルトは、張っているベルトに縛って固定しましょう。特別な結び方はないので、邪魔にならないようにまとめられれば問題ありません。
平ボディのような車外にベルトがあるトラックの場合、余ったベルトを固定しないと、走行中になびいて、他の車の邪魔になってしまうおそれがあるため、必ずまとめましょう。バンのような荷室内であっても、余ったベルトをまとめておくことで緩みの防止になります。
ラッシングベルトの緩め方・外し方
次に、ラッシングベルトを緩めるときの手順を解説します。
手順①:解除用のレバーを引きながらハンドルを起こす
バックルに付いている解除用レバーを引きながらハンドルを起こすことで、ベルトの固定を解くことができます。
ハンドルを起こし、最後まで倒しきるとバックルのロックが外れ、ベルトが一気に解放されます。
手順②:ベルトが緩むようにバックルを手前に引く
バックルのロックが外れている状態では、引っ張るだけで簡単に緩んでいきます。ベルトが緩んだら、ラッシングベルトの両端に付いている金具をトラック荷台から取り外します。
ラッシングベルトの取り付け方【トラック】
トラックの荷室内でラッシングベルトを使う場合は、ラッシングベルトの端末金具を「ラッシングレール」か「床フック」に固定して使用します。それぞれの付け方や、どのような用途で使い分ければ良いのかを解説します。
ラッシングレールにベルトを取り付ける方法
「ラッシングレール」とは荷台の壁面に取り付けられているレールのことで、ラッシングベルトの端末金具を引っかけられる多くの穴が開いています。
ラッシングベルトの端末金具には様々な種類がありますが、ラッシングレールには「ワンピース」というタイプの金具を使用します。
>ラッシングベルト LSR50 ST10-50TS ワンピース
両サイドの壁面のラッシングレールにラッシングベルトを固定すると、貨物を車両前方向に押さえることができます。高さのある貨物を固定するときによく使われる方法です。
ラッシングレールにラッシングベルトを取り付ける際には、まずラッシングベルトの端末金具をラッシングレールのどこの穴に引っかけるかを決めます。固定する貨物の後端よりも前の方にある穴を選び、ラッシングベルトを取り付けた後にラッシングレールとベルトが45度以内になるよう取り付けることがポイントです。
穴を決めたら、端末金具のレバーを引きながら穴に引っ掛けます。このとき、レバーの位置が上にくるように取り付けてください。
ラッシングベルトのバックルが外向き(貨物の反対側)になるようにしましょう。
次にハンドルを動かして固定します。固定した後はベルトを触り、確実に固定されていることを確認しましょう。
床フックにラッシングする方法
「床フック」とはトラックの荷室の床面に取り付けられている、ラッシングベルトの端末金具を引っかけるためのフックです。
床フックを利用するときのラッシングベルトの端末金具は、フック状のものを使います。
床フックを使うと、貨物を車両の下方向に押さえることができます。高さがない貨物を固定する場合や、形状が複雑でラッシングレールでは固定しづらい貨物を積載するときに有効です。
使い方はラッシングベルトの端末金具を床フックに引っかけるだけですが、バックルの向きに注意する必要があります。バックルのハンドルが上向き(貨物の反対側)に向くように端末金具を取り付けてください。
ラッシングベルト使用時の注意点
ラッシングベルトを使うときの注意点を紹介します。
ラッシングベルトの固定方法を間違えると、運転中に緩んでしまう可能性があります。貨物を損傷させるだけでなく、ドライバーや周囲の車に危険を及ぼすため、正しい方法で固定してください。
ベルトを手で触って張りを確認する
貨物の固定が終わった後は必ずベルトを手で触って張りを確認し、目視でもベルトが確実にかかっているか確認してください。手で触って確認したときにベルトの張り緩んでいたり、強すぎたりする場合は一度バックルを解放し、最初からラッシングをやり直しましょう。
強く締めすぎない
ラッシングベルトの締めすぎも危険です。ベルトを強く張らないと荷物が動きそうで不安になる人も多いと思いますが、必要以上に強く張ってしまうと荷物やラッシングレールが破損してしまう可能性があります。
ラッシングベルトはハンドルを往復するだけで、人力で引くよりも強い力を簡単にかけることができます。便利な反面、力加減を分かっていないと、どこまでも力が加わってしまいます。上記の手順の通り、たるみをとった状態から2〜4回の反復におさめたほうがいいでしょう。感覚的な部分もあるため、やり慣れた人から教わるのもおすすめです。
ベルトがねじれないように取り付ける
ベルトがねじれた状態で取り付けて締めてしまうと、ベルトが当たる面積が少なくなるため、貨物の固定が不安定になったり、ベルトが傷みやすくなったりします。ベルトを取り付けた後にねじれに気付いた場合は一度端末金具を取り外し、ねじれをなくした状態で再度取り付けを行いましょう。
また、バックルのハンドルを往復させてベルトを巻き取るときも、余ったベルトを垂れ下げておくと、ねじれた状態で回転軸に巻き取られてしまうことがあります。バックルが解除しづらくなったり、ベルトが劣化したりする原因になるので、ベルトを手で持って真っ直ぐな状態で巻き取るようにしてください。
劣化したベルトは使用しない
ベルトに劣化が見られる場合は、使用を中止し、必ず新しいベルトに交換しましょう。劣化したベルトを使用すると、使用中に切れてしまい貨物が崩れてしまう危険性があります。
ベルトに以下のような状態が見られたら、交換の目安です。
- ・ベルトが摩耗し、全幅にわたって縫い目が分からないほど毛羽立っている
- ・幅方向や厚さ方向に切り傷がある
- ・縫合部の縫い糸が切れて、ベルトの合わせ面に剥離がある
- ・端末金具に変形や亀裂、部品の脱落がある
損傷を無視して使用を続けたり、切れたベルトを結んだりといった使い方は、危険なので避けましょう。
ヤマダボディーワークスでは、豊富な種類のラッシングベルトを取り揃えていますので、用途に合わせてお選びいただけます。インターネットやFAXからも注文できますので、ぜひご活用ください。
>ヤマダボディーワークス ラッシングベルト一覧
ラッシングベルトの使い方に関するよくある疑問
ラッシングベルトの使い方について、よく出てくる疑問と対応策をご紹介します。
ラッシングベルトが緩む原因は?
運転中にラッシングベルトが緩む原因は、適切な手順や強さで締められていないことがほとんどです。前述した手順や注意点を守りながら固定してください。
また、長距離の移動などでベルトが緩まないか心配な場合は、以下の対策がおすすめです。
- ・複数のベルトで固定する
- ・複数の方法を組み合わせて固定する
- ・定期的に緩んでいないか点検する
運転中の車体振動で貨物の位置がずれることもあるため、最初のラッシングがうまくいっても、定期的に点検することが大切です。
軽トラックではどのように使う?
軽トラックでもラッシングベルトを使うことができます。基本的には平ボディのトラックで使うときと変わりませんが、軽トラックには荷台の下に標準でフックが取り付けられているため、こちらにベルトを引っかけて貨物を固定することもできます。
ベルトの形状はアイタイプという端末のベルトが輪っか(ループ)状になっているものや、端末金具がリングやフックタイプのものが使用できます。アイタイプは端末に金具がなく布製なので、車体を傷つける心配がありません。
ヤマダボディーワークスでは、軽トラにも使えるフックタイプのラッシングベルトを取り扱っています。インターネットやFAXからも注文できますので、ぜひご活用ください。
>ラッシングベルト LSR50 SC10-50CS クロスフック
ベルトを巻き取りすぎた時の直し方は?
ラッシングベルトを目一杯まで巻き取ってしまうと、解除するときのすき間がなくなってしまい、簡単に緩められなくなってしまいます。ラッシングベルトが緩められなくなったときはバックルとバックルシートを足で踏み、両手でベルトを力強く引っ張ることで解除できます。
使用後のラッシングベルトの正しいまとめ方は?
ラッシングベルトを使わないときは、バックルにベルトを巻き付けるときれいにまとめることができます。手順は以下のとおりです。
- バックル部分にベルトを巻きつける
- 最後にベルトを90度折り、横方向に巻く
- 端末金具をバックルにしまい込む
最初にベルトの長さを調整してから巻きつけないと、最後に長さが合わず、固定が緩くなってしまうため注意しましょう。
ラッシングベルトの正しい使い方をマスターしよう!
ランシングベルトを使うと、安全で簡単に貨物の固定を行えます。ラッシングベルトを用途に合わせて使いこなすことで、「貨物の固定に時間がかかる」「運転中に荷崩れが心配で落ち着かない」といった問題が解消されます。
ヤマダボディーワークスでは、「ワンピース」や「クロスフック」「バイク用タイダウンベルト」といった様々なラッシングベルトを取り扱っています。端末金具単体の販売も行っているので、ぜひご活用ください。