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トラックの荷台での作業で起こり得る事故リスクと安全対策

2024年5月13日

トラック運送事業では、多くの労働災害が発生しています。陸上貨物運送事業労働災害防止協会が発表している労働発生状況によると、令和5年度に発生した陸上貨物運送事業の死傷災害発生状況は16,021人となっており、106人もの死亡者数が出ています。

こちらでは、トラックの労働災害を減らすために必要な安全対策や、有用なツールなどをご紹介します。日々の業務の安全性のために、ぜひ参考にしてください。

ヤマダボディーワークスでは様々な種類のステップや取手を取り扱っています。ぜひご活用ください。
アオリハンドル、チェーン掛、足掛の商品一覧|ヤマダボディ―ワークス
スタンションガイド、戸田式ステッキの商品一覧|ヤマダボディ―ワークス
取手の商品一覧|ヤマダボディ―ワークス

トラックの荷役作業における労災事故発生状況

荷役作業時の事故発生状況のグラフ
画像引用:陸上貨物運送事業におけるトラック荷台からの転落を防ぐために|独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所

トラック運送事業における労働災害のうち、約7割が荷役作業中に発生しています

そのなかでも多いのが荷台からの転落事故です。また、荷台からの転落事故のうち4割は、荷台等への昇降時に発生しています。

そのため、トラックの労働災害を減らすためには、荷台の昇降時の安全対策が重要と言えます。

トラックの荷役作業時の事故事例

過去に実際に発生した、トラックの荷役作業時の事故事例を3つご紹介します。

荷台から降りるときにバランスを崩して転落

トラックに積み込み済みの荷物に荷札の貼り忘れがあったため、構内物流担当者がトラックの荷台に上がり荷札の貼り付けを実施。トラックの荷台(高さ約1m)から後ろ向きで降りようとした際に、バランスを崩して荷台から落下し、頭を打った。

被災者の意識ははっきりしており、救急車で病院に搬送したところ、診断結果は頭部外傷性頭皮下血腫(たんこぶ)。構内物流担当者は荷台に上がっての作業は行わないため、運転手に連絡、確認後荷物を降ろしてから作業を行うべきだった。

参照:一般社団法人日本塗料工業会

ヘルメットを着用せず荷下ろし作業中に転落

トラックから葦簾(よしず)を荷下ろしする作業中に、作業員がトラックの荷台から転落し死亡。被災者は葦簾の運搬や選別の作業があるときのみ、臨時で雇われていた作業員だった。

事故発生当時は、葦簾を運搬してきた10tトラックが到着したため、被災者の作業員と運転手と社長の3人で葦簾の束を降ろして倉庫に搬入する作業を行っていた。作業開始前に社長は、トラックの荷台から葦簾を降ろすのは運転手、倉庫に運搬するのは被災者の作業員と社長と指示した。

作業から1時間後、社長が休憩するように指示し、その場を離れた。さらに1時間30分後社長が戻ってくると、作業員がトラックの荷台に上がり葦簾を降ろす作業を行っていた。危ないと注意したが、その直後バランスを崩し落下。作業員は保護帽を着用しておらず、地上から3〜4mの高さから落下し死亡した。

参照:職場のあんぜんサイト:労働災害統計

荷台への積み込み作業中にアオリが倒れ転落

鋳鉄製ガス管のトラック輸送のために荷台に積み込み作業を行っていた際、予期せぬタイミングで助手席側のアオリが倒れ、荷台の上にいた作業者が荷物とともに転落。落下した作業者の身体の上に3本のガス管が崩れ落ち、外傷性脳損傷のため死亡した。

事故発生時、助手席側のアオリはアオリ開閉補助装置により自立していたが、アオリの前後にあるロックレバーは外れていた。ガス管の作業を行う前に、荷台に載せてあった毛布を助手席に移すために、助手席側のアオリを一度倒していた。その際にロックをかけ忘れ作業に移ったため、作業中に作業者が手をかけた瞬間にアオリが倒れた。

参照:職場のあんぜんサイト:労働災害統計

トラックの荷役作業における安全対策

トラックの荷役作業時には、上記のような事故を未然に防ぐために、次のような安全対策が必要です。

  • ・テールゲートリフターの操作に関する特別教育を実施する
  • ・ヘルメットなどの保護具を着用する
  • ・安全な作業床を設置する
  • ・安全帯・安全ネットを使用する
  • ・安全帯・親綱を使用する
  • ・荷台に昇降装置を設置する

それぞれ見ていきましょう。

作業手順を明確に定め周知徹底する

荷役作業は作業員が独自の作業手順で行うのではなく、マニュアル化して関係作業者への周知を徹底することが重要です。上記の事例でも、臨時で雇われた作業員が上司の指示と異なることを独断で行い、荷台から落下して死亡するという事故が発生しています。

作業手順を徹底するだけでなく、無理なスケジュールを組まないことも大切です。作業員によって体力や能力に差があるため、適切に休憩をとりながら作業を行うことで事故の発生を防げます。

テールゲートリフターの操作に関する特別教育を実施する

テールゲートリフターは、その特性に起因する労災事故リスクがあります。そのため、労働安全衛生規則の改正により、令和6年2月から特別教育が義務化されました

特別教育は全国で50程度の協会・団体が実施しており、学科は4時間、実技は2時間以上の受講が必要です。学科ではテールゲートリフターに関する知識や作業に関する知識、法令関係を学びます。実技ではテールゲートリフターの操作方法について実習を行います。

ヘルメットなどの保護具を着用する

頭部へのダメージは致命傷に繋がりやすいため、作業時にヘルメットを着用することは重要です。荷台からの転倒時や落下時に頭を強打したり、物が落下してきたりした際にヘルメットを着用しているかどうかは、その後の被害の大きさを左右します。

安全な作業床を設置する

アオリや荷物の上に乗って作業をする時は、地上からの高さがあり、足場も不安定になるため危険です。そこで、トラックの荷台に安全な作業床を設置し、作業時の足場を確保することも安全性を高めるのに効果的です。

厚生労働省もアオリに取り付けるタイプの簡易作業床(トラック積載型簡易作業床)を設置し、この上で作業する方法を紹介しています。作業床を使わない時はアオリの内側に収納できるため、持ち運びや設置も容易に行えます。

安全帯・安全ネットを使用する

安全ネット使用
画像引用:荷役作業を安全に 荷役作業時における墜落防止のための安全設備マニュアル|厚生労働省ホームページ

作業床の用意が難しい場合は、安全帯・安全ネットの使用が推奨されています。安全帯とは、高所作業時の作業者の墜落や転落を防ぐために作業者に装着する命綱のような保護具です。安全帯を使用する場合は、安全帯をつなぐための設備が必要です。

安全ネットとは、アオリの外側に設置して作業者の転落を防止するためのネットです。作業床と併用することもできますが、作業床を使わずにアオリの横に直接設置することも可能です。

安全帯・親綱を使用する

スタンションガイドと支柱
トラックの荷台で安全帯を使用するためには、安全帯をつなぐための親綱が必要です。親綱は身長よりも高い位置に、確実な方法で設置する必要があります。

トラックに親綱を設置する簡単な方法として、スタンションガイドと支柱を使う方法があります。トラックの荷台にスタンションガイドという支柱を差し込むための穴となる部品を設置し、支柱を立てます。スタンションガイドがあることで、工具を使わずに支柱の脱着が可能となります。親綱を支柱と車体につなげることで、簡単にしっかりとした親綱を張ることが可能です。

上記の設備は、以下の3種類の商品を組み合わせることで設置が可能です。

  • ・スタンション親綱支柱
  • ・スタンションガイド本体
  • ・スタンションガイド蓋

スタンション親綱支柱 2.3×50×50×2000mm ステンレスアイボルト付

スタンション親綱支柱

親綱を設置するための支柱となる部品です。支柱先端の輪っか状の部分に、親綱をつなげることができます。長さが2000mmあるので、使用環境に応じて切断することで、親綱を任意の高さに設置できます。


スタンション親綱支柱 2.3×50×50×2000mm ステンレスアイボルト付

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スタンションガイド本体 親綱支柱用 3.2×50×50×200mm

スタンションガイド本体

スタンション親綱支柱を差し込むためのガイドです。スタンションガイドはあらかじめトラック荷台を加工して設置しておく必要がありますが、スタンションガイドがあれば支柱の脱着が簡単に行えます


スタンションガイド本体 親綱支柱用 3.2×50×50×200mm

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スタンションガイド蓋 50×50×200mm

スタンションガイド蓋

スタンションガイドを使っていないときに、ガイドの穴を塞ぐための蓋です。ガイドに支柱を差し込んでいないときは、荷台の床面に穴が開いてしまいます。こちらのスタンションガイド蓋を入れておくことで床面がフラットになり、つまずき事故を防止できます。

以下のカテゴリに、同種の強度が高い75×75mmの角パイプを使用したバージョンもございます。


スタンションガイド蓋 50×50×200mm

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>スタンションガイド(鋼材運搬用・木材運搬用)、戸田式ステッキ(丸太原木固定装置)の製品一覧

荷台に昇降装置を設置する

トラックの労働災害は荷台からの転落事故が多くの割合を占めています。そのため、事故を減らすためには荷台への昇り降りを補助するための昇降装置の設置が有効です。2023年10月の法改正により、最大積載量2t以上のトラックには昇降装置の設置が義務付けられました。

法改正後のルールに対応するためには、昇降用のステップ(足場)だけでは不安定なため、グリップ(取手)も合わせて設置し、高い安全性を確保する必要があります。ここではヤマダボディーワークスで扱っている、おすすめの昇降装置をご紹介します。

ステンレス アオリ足掛 埋め込み式

ステンレスアオリ足掛埋め込み式

アルミブロックの内側に埋め込むタイプのステップで、アオリを開いた状態で荷台に昇降する際に使用します。使用しない時はステップの部分が格納できるためほとんど突起が発生せず、使用時はステップを開くだけなので誰でも簡単に操作できます。素材がステンレスのため、サビに強いといった特徴もあります。

ただし、アルミブロックにしか設置ができず、設置するためにはアオリに加工が必要です。


ステンレス アオリ足掛 埋め込み式

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ラッシングステップ バーリングタイプ

ラッシングステップバーリングタイプ
アオリが開いた状態で、アオリの内側のラッシングレールに引っ掛けて使用するタイプのステップです。2箇所のワンピース金具をラッシングレールに固定することで、足をかけても問題ない強度のステップを簡単に設置できます。ラッシングレールのついているアオリであれば、アオリを加工することなく取り付けが可能です。


ラッシングステップ バーリングタイプ

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ステンレス取手 L=194

ステンレス取手

ステップだけ設置しても、持ち手がないと体勢が不安定になってしまいます。取手を設置し、十分な安定性を確保してください。ステンレス取手は一般的に荷台後部の観音扉の脇や、サイドアオリの脇に設置して使用します。取り付けるためには加工が必要ですが、ボルト2本で設置できるため、比較的簡単に加工ができます。


ステンレス取手 L=194

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アシストベルト L=200mm AST-RG-I-200

アシストベルト

トラック荷台への乗り降りを補助するための、ベルトタイプの持ち手です。本製品を使用するためには荷台にラッシングレールがあることが条件ですが、ラッシングレールに金具を引っ掛けるだけで持ち手を設置できます。昇降用のステップと合わせて使うことで姿勢が安定するため、荷台からの落下防止に有効です。

昇降設備の製品についてはこちらの記事も参照して下さい。
関連記事:2トン以上のトラックも昇降設備設置義務化の対象に|法改正のポイントを解説


アシストベルト L=200mm AST-RG-I-200

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トラックの荷役作業で起こり得る事故と安全対策まとめ

トラックの労働災害の多くは荷役作業中に起きており、中でも荷台からの転落事故が大きな割合を占めています。トラックの労働災害を減らすためには、荷台への昇降を安全にできるように対策を行うことが有効です。

ヤマダボディーワークスでは、様々な種類のステップや取手を取り扱っています。トラックによって設置しやすい昇降装置が異なるため、ぜひ参考にしてください。

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