御社のステンレス工具箱はなぜ磁石がつくのですか?

2012年9月23日

Q:御社のステンレス工具箱で材料がNSSC180の物は、なぜステンレスなのに磁石がつくのですか?

A:当社取扱いのステンレス工具箱で、材料がNSSC180の製品についてご説明します。

ステンレスは、鉄をベースに、クロム・ニッケルなどを混ぜた合金です。クロムなどにより、表面に強い酸化皮膜(不動態皮膜)ができることで、腐食に強い金属となります。ステンレスは、錆びない金属ではありません。
ステンレスの材質記号は、SUS(呼称:サス)です。SUSの後に3桁の番号などをつけて、ステンレスの鋼種を区別します。

磁石がつく鋼種は、主要添加元素がクロム(Cr)のみのもの。記号では、SUS430のように、4百番台の数字がつきます(SUS430系)。SUS430系のステンレスは、下に挙げるSUS304系のステンレスと比べて一般的に耐食性に劣りますが、SUS材の中では多少安価です。

磁石がつかない鋼種は、主要添加元素がクロム(Cr)とニッケル(Ni)です。記号では、3百番台の数字がつきます(SUS304系)。ニッケルが入ることで、耐食・耐熱性が向上します。価格は、上記SUS430系より多少高価になります。

またJISの鋼種記号とは別に材料メーカーは、それぞれ商品記号(商標名)をつけています。この製品に使われるNSSC180は、その一つで新日鐵住金ステンレス株式会社の製品です。こちらをご確認下さい。→NSSC180について
鋼種は、SUS430系のステンレスです。通常のSUS430を、より耐食性を高めたものですがSUS304系よりは落ちます。

従来工具箱に使われていた鋼種は、SUS304でした。2008年頃に、SUS304に添加するニッケル(Ni)の国際市況がそれ以前の6倍以上に騰がり、それにともなってSUS304系のステンレスも2倍以上の価格になりました。その為材料価格が比較的安定していて、かつ耐食性を高めたNSSC180が工具箱に使われるようになった経緯があります。現在、車体メーカー最大手の日本フルハーフ(株)も使用しており、実際のご利用においても問題が無いかと思われます。

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