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トラックの工具箱の取り付け方!手順や注意点を解説

2023年3月24日

トラックの荷台下には工具箱が取り付けられています。車外に取り付けられているためサビの発生などで劣化し、交換が必要になることがあります。

交換作業はさほど難しくありませんが、やり方を間違えると工具箱の脱落や車のシャーシの強度の低下を招くため注意が必要です。

今回は、工具箱を交換するときの手順や注意点を解説します。

トラックに工具箱を取り付ける方法

工具箱をトラックに取り付ける方法を紹介します。工具箱やステー、シャーシの形状が複数の種類が存在するため、取り付け方法が異なる場合もあります。

工具箱を取り付けるために必要な道具

工具箱をトラックに取り付けるために、以下の工具を準備しましょう。取り付けの条件によっては不要な工具もあります。

工具 詳細
ラチェットレンチ、メガネレンチ、スパナレンチ ボルトを締めたり緩めたりするための工具。どのレンチでもボルトを回すことができるが、形状や機能が異なるため、ボルトごとに適した工具を選択する。
ドリル、ポンチ、ハンマー 工具箱や工具箱ステーに穴を開けるための工具。始めから穴が開いている場合や溶接で取り付ける場合などは不要。
保護具 鋭利な金属から手を守るための手袋や、ドリル使用時に鉄粉から目を守るための保護メガネなど。

工具箱の取り付け位置

工具箱の取り付け位置

工具箱は、トラックのサイドメンバーと呼ばれる「シャーシ」の外側に固定されています。シャーシはトラックの荷台下にある縦方向に伸びている金属の骨格のことで、左右に1本ずつあります。

縦方向に長いため、任意の位置に工具箱を取り付けることが可能です。しかし、シャーシには他にもバッテリーや燃料タンクなども取り付けられています。他のパーツと干渉しない位置を選ぶ必要があるため、実際には取り付けられる位置は限られるでしょう。元々工具箱が付いているトラックは、そのままの位置で交換するのが一般的です。

工具箱はシャーシに直接固定されているのではなく、工具箱ステーというL型の金属を介して取り付けられています。工具箱ステーは新しい工具箱と互換性があればそのまま利用できます。


ステンレス工具箱ステー 350mm以下用 FHK型

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※工具箱ステー

工具箱の取り外し手順

トラックに始めから工具箱が付いている場合は、最初に工具箱を取り外します。工具箱の取り外し手順は以下の通りです。

工具箱の荷物を取り出す

まずは工具箱が空になるように、中の荷物を全て出しましょう。工具箱を固定しているボルトは工具箱を貫通して反対側からナットで固定されているため、内側と外側から工具を当てて回転させなければなりません。このとき工具箱に荷物が入っていると、内側のボルト・ナットに触れないため邪魔になってしまいます。

また、工具箱を降ろすときは軽いほうが楽なので、中身を空にすることで作業性が上がります

工具箱とステーを固定しているボルトをはずす

工具箱とステーを固定しているボルトを全て外しましょう。ラチェットレンチやスパナレンチなどを使い、ボルトを反時計回りに回転させると外すことができます。工具箱によって固定しているボルトの位置や数が異なりますが、左右にそれぞれ3本程度取り付けられています。

ボルト・ナットのサイズは10mmが使われていることが多いのですが、実際に付いているものを確認し適合する工具を選択してください。工具箱の内側と外側、片方だけを回転させていると共回り(同時に回転して緩まないこと)することがあるため、必ず反対側も固定しながら回転させます。

また、車外に取り付けられたボルト・ナットはサビが発生していることもあり、工具がかかりづらいことがあります。工具がしっかりかかっていない状態で力を加えるとボルトの頭が削れてしまうこともあるため、しっかり奥まで入っていることを確認してから回転させましょう。ネジ山にサビが多く発生している場合は、潤滑材を塗るのも効果的です。

工具箱を前方へスライドして外す

ボルトが全て外れたら、工具箱を前方にスライドすると外れます。サビなどで工具箱がステーに張り付いている場合は、工具箱を軽く叩くと外れやすいでしょう。

元から付いている工具箱ステーを再使用しない場合は、ステーを車両のシャーシから外します。工具箱ステーを固定しているボルトを緩めることで、外すことができます

工具箱の取り付け手順

今度は、新しい工具箱をトラックに取り付けるための手順を解説します。

工具箱ステーの位置を変更

工具箱の大きさを変更する場合は、元々付いている工具箱ステーと新しい工具箱のサイズが合わないため、工具箱ステーを付け直す必要があります。車両のシャーシには複数の穴が開いており、その穴を利用してボルト・ナットで工具箱ステーを固定できます。

工具箱を新設する場合は、車両にステーがないため、新しいものを用意して取り付ける必要があります。ステーは片側に対して、ボルトで2箇所固定します。ステーのボルトは走行振動によって大きな負荷がかかるため、強度があるボルトを使わないと走行中に折れてしまう可能性があります。M10(10mm)のハイテンボルト(11T程度)を使用してください。

また、使用中にボルトが緩まないように、ボルトとナットの間には平ワッシャーとスプリングを入れて締めます。もしくは、ダブルナット(2つのナットを互いの方向に締め込む方法)で緩み防止を行うのも効果的です。

ヤマダボディーワークスでは、工具箱だけでなくステーも扱っています。複数の種類があるため、サイズや形状に合わせて最適なものをお選びください。
>工具箱ステー一覧

工具箱にボルト固定用の穴を開ける

新しい工具箱の側面や底面に、ボルトを通すための穴を開けます。工具箱ステーに穴が開いている場合は工具箱とステーを仮合わせし、穴開け位置を確認しましょう。

縦横300mmサイズの工具箱はステー片側3か所(下側2ヶ所、横1ヶ所)、縦横450mmサイズの工具箱はステー片側4か所(下側2ヶ所、横2ヶ所)の固定が必要になるため、必要数の穴の位置を確認します。

また、工具箱の背面はステーの後端と50mm程度のクリアランス(すき間)を開ける必要があります。工具箱をステーの奥までぴったりと付けてしまうと、ステーのボルトやシャーシのUボルトといった構造物と干渉してしまうためです。

工具箱にボルト固定用の穴

穴開け位置が決まったら、ポンチを使って跡を付けます。穴を開ける位置の中心にポンチの先端が当たるように垂直に当て、ハンマーで打ち込みます。ポンチがない場合や工具箱の材質によって打ち込みが難しい場合は、マーカーペンなどで代用してください。

跡を付け終わったら、ドリルを使って穴開けを行います。最初は小径のドリルで下穴を開けます。工具箱の材質にもよりますが、Φ2程度のドリルから始めるのがおすすめです。

下穴が開いたら、少しずつドリルの径を大きくしていくことで穴を広げます。穴を大きくしすぎるとボルトの頭やナットが引っかからなくなってしまうため、使用するねじ部の径に合わせて穴の大きさを調整してください。

ドリルを安全に使用するための注意点は、穴開けの面に対してドリルを垂直に当て、軽い力で押し当てながらドリルを回転させることです。ドリルは常に最大回転で使うのではなく、断続的に回転させて回転数を調整しながら行いましょう。上記の注意点を守らないと、ドリルが折れたり貫通した瞬間に転倒したりすることがあるため危険です。

小径のドリルは特に折れやすいため、弱い力から始めて力加減を調整してください。ステーに穴がない場合は、同様の手順でステーにも穴を開けます。

工具箱をボルトで固定する

工具箱とステーに穴が開いたら、M8(8mm)のボルトと、ナット・スプリング・平ワッシャーを使って固定しましょう。ステーに工具箱を載せて、ボルト穴が合う位置に調整します。

この場合のボルトはハイテンボルトではなく、ステンレスボルトで大丈夫です。ボルトとナットの間には平ワッシャーと、緩み止めのためのスプリングを入れて締め込みます。

最初に通したボルトをすぐに工具で締めてしまうと、他のボルト穴の位置が合わなくなってしまうことがあるため、全ての穴にボルトを通してナットで仮付けを行ってから工具で締めるのがポイントです。

ボルトを工具で締めるときは、力いっぱい締めてしまうとボルトが折れてしまうため力加減を調整してください。ただし、締め込みが弱すぎると使用中にボルトが緩みやすくなるため、力加減が不安な人はトルクレンチ(締め込む強さを数値化できる工具)を使うか、経験がある人にお任せしましょう。

トラックへ工具箱を取り付ける際の注意点

工具箱を取り付けるときの注意点を4点ご紹介します。下記の注意点を守らないと、工具箱の取り付けができなかったり、工具箱が脱落したりする可能性があります。

トラックや工具箱ステーとの相性を確認する

新しく取り付ける工具箱のサイズが、トラックや工具箱ステーのサイズが合っているか確認してください。

車種によっては取り付けるスペースが小さいため、大型の工具箱が取り付けられない場合があります。たとえば、1tトラックに500×290×320mmのサイズの工具箱を付けようとしても、大きすぎて難しいでしょう。ステーも工具箱の大きさに合わせてサイズがあるため、適したものを使う必要があります。

また、工具箱の正面にサイドバンパーがある場合、下開きの蓋が全開にできない場合があります。そのような場合、工具箱の蓋が上に開くスイング型やスライド型を選ぶのも良いでしょう。

ボルトの締め付けは確実に行う

工具箱は車外に取り付けられるため、固定が確実に行われていないと脱落して事故につながる危険性があります。ボルトの締め付けは適切な強さで行い、緩みがないようにしましょう。

また、使用中にボルトが緩むこともあるため、定期的な点検も欠かせません。点検時に緩みがある場合は再度締め付けを行うだけでなく、ボルトがサビなどで腐食している場合は必要に応じて交換してください。

なお、工具箱をシャーシに取り付ける際、シャーシに穴開けをしてはいけません。シャーシは強度計算されているので、穴明けで亀裂や折れなどの破損の原因となります。必ず、シャーシに元から開いている穴を利用して取り付けてください。

ボルト用穴を開けるときは位置確認を正確に行う

工具箱やステーに穴開けをするときは、正確に位置確認をしないと、穴の位置が合わずに取り付けられない場合があります。穴の位置を誤って開けてしまった場合は正確な位置に開け直すしかありませんが、不要な穴が増えてしまうと水入りの原因になります。ステーとしっかり位置を合わせてから、正確な位置にマーキングをしましょう。

シャーシに取り付ける際に溶接は行わない

工具箱をシャーシに取り付ける際、溶接を行ってはいけません。シャーシに溶接で取り付けた場合、使用中に溶接部分が切れてしまい、脱落してしまうことがあります

トラックの足回りには、乗用車のようなコイルスプリングではなく、リーフスプリング(板バネ)という緩衝装置が使われていることが一般的です。リーフスプリングは頑丈ではあるものの、クッション性が低いという特徴があるため、路面の段差を乗り上げる度にシャーシに強い振動が加わります。

溶接部分に繰り返し強い振動が加わると溶接が切れてしまうリスクが高く、走行中に工具箱が落下すれば事故に繋がる危険性もあります。シャーシへの部品の固定は溶接ではなく、シャーシに元から開いている穴を利用して、ボルトで締めしましょう

トラックの工具箱はヤマダボディーワークスへ

トラックの工具箱の腐食が進んでいたり損傷したりしている場合は、安全のために速やかに交換しましょう。また、工具箱の素材やサイズを変更することで、より便利に使用することもできます。

ヤマダボディーワークスでは、様々な種類の工具箱やステーを扱っています。工具箱の交換を検討している場合は、ご活用ください。


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鉄製の工具箱です。鉄はステンレスなどに比べてサビが発生しやすいという弱点がありますが、表面塗装でサビ対策がされています。鉄製工具箱は比較的安価なため、交換しやすいのもメリットです。

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FRPとは「繊維強化プラスチック」のことです。プラスチックに弾性率が大きいガラス繊維などの強化材を混ぜているため軽量ながら高い強度を持っているのが特徴となっています。さらに金属ではないため、サビが発生する心配がなく優れた耐久性を備えています。

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工具箱本体・ステーのほか、取っ手や蝶番・錠などの関連部品も扱っています。
>工具箱関連パーツ一覧