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トラックの作業灯は車検に通らない?保安基準や車検対策を解説

2023年3月13日

トラックの「作業灯」とは、荷台を照らすためのランプのことで、主に平ボディの鳥居に取り付けられています。夕方や夜間に屋外で作業するときは荷台が暗いため、作業灯があると便利です。作業灯は「ワーキングランプ」とも呼ばれます。

作業灯はトラックの停車時に使うためのランプなので、走行中に点灯させてはいけません。そのため、法令によってON/OFFスイッチの位置などに基準が設けられており、正しく装着しないと車検に通らないこともあります。

こちらでは作業灯に関わる法令について詳しく解説します。後付けで作業灯を増設したいけど、車検に通るか不安という方はぜひ参考にしてください。

作業灯に関わる保安基準とは?

作業灯に関わる保安基準

保安基準とは、道路運送車両法で定められた自動車の構造・装置に関する技術基準のことです。作業灯にも保安基準が定められており、この基準に適合するように取り付けなければなりません。もちろん、保安基準を満たしていれば作業灯を装着した状態で車検を通すこともできます。

作業灯の取り付け要件

トラック・軽トラの作業灯は、荷台を照らすようにするために平ボディの鳥居(キャブの後ろのシャーシ)に取り付けるのが一般的です。通常は、鳥居に取り付ければ問題ありません。ただし、作業灯が鳥居の上端からはみ出していて、車両の高さが変わる場合は注意が必要です。

作業灯は「指定部品」という部品に該当するため、以下のいずれかの取り付け状態であれば構造変更の手続きは不要です。

  1. 自動車の寸法が長さ±3cm・幅±2cm・高さ±4cm以内である
  2. 溶接やリベット(恒久的取り付け方法)以外の方法で取り付けられている

ただし、上記のいずれかの取り付け状態であった場合も、道路運送車両の保安基準に適合している必要があります。自動車の高さの上限は3.8m、幅の上限は2.5mとなっているため、背の高い又は幅の広いトラックに取り付ける場合は注意しましょう。

また、ボルトやナットで取り付ける場合、車検証に記載の長さ・幅・高さをオーバーしても保安基準に適合していれば車検上問題ありませんが、突起物規制に引っかかる可能性があります。

加えて、車検上問題がないのは継続車検の場合であり、新規登録時(新車時)や中古新規の場合は構造変更の手続きが必要となります。必要なければ鳥居の高さや横幅から、大きくはみ出さないように取り付けるのが無難でしょう。

作業灯のスイッチの場所に関する保安要件

上記のとおり、作業灯は走行中に点灯しないことを前提として設置するため、作業灯をON/OFFさせるスイッチにも注意が必要です。道路運送車両の保安基準42条(その他の灯火等の制限)の細目を定める告示218条には、以下の記載があります。

自動車には、次に掲げる灯火を除き、後方を照射し又は後方に表示する灯光の色が白色である灯火を備えてはならない。

その構造が次のいずれかに該当する作業灯その他の走行中に使用しない灯火

  • ・運転者席で点灯できない灯火
  • ・運転者席において点灯状態を確認できる装置を備えたもの(走行装置に動力を伝達することができる状態においてのみ点灯できる構造を有するものを除く。)

引用:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2022.1.7】第218条(その他の灯火等の制限)│国土交通省

つまり、運転席から操作できない離れた位置に独立したON/OFFスイッチがあれば大丈夫です。例えば、作業灯本体にスイッチが付いているタイプであれば車外に出ないとスイッチに触ることができないので、運転席で点灯できない灯火となり基準を満たします。

また、運転席の近くにスイッチがあっても、スイッチにパイロットランプがあれば点灯状態を確認できるため問題ありません。作業灯のスイッチがスモールランプなどの灯火と共用になっており、連動して点灯する場合は上記の基準に適合しないだけでなく、走行中に点灯してしまうのでNGとなります。


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保安基準を満たした純正作業灯の例

保安基準を満たした純正作業灯の例
画像引用:カーライフサポート[HIJET TRUCK]【ダイハツ アクセサリー】│ダイハツ工業株式会社公式

作業灯の一例として、ダイハツ・ハイゼットトラックの荷台作業灯(純正品)がどうなっているかご紹介します。純正品なので、もちろん車検に適合した作業灯です。

作業灯は鳥居に取り付けられていますが、鳥居の上端をこえないように取り付けられています。スイッチは運転席にあるため運転しながら操作ができますが、パイロットランプが付いていて点灯状態の確認が可能です。

また、サイドブレーキを引かないと、作業灯が点灯しない構造になっています。走行するにはサイドブレーキを戻さないといけないので、運転者がスイッチを切り忘れても走行中に点灯しないような構造になっているのです。

取扱説明書には「スイッチを常時ONにしていると、信号待ちなどでサイドブレーキを引いたときに点灯する」といった内容の注意書きがあります。作業灯の点灯状態が運転手席で確認できれば、運転中に作業灯が点灯することがあっても車検上は問題ないということがわかります。

作業灯の車検対策

車検に通るように作業灯を後付けするためのポイントは下記2点です。

作業灯のスイッチの場所など取り付け要件を満たす

そもそも、作業灯の要件を満たしていなければ車検に通りません。作業灯を後付けする場合は、「作業灯の取り付け位置」と「ON/OFFスイッチの位置、構造」が法令の基準を満たしているか確認しましょう。

車両の高さや幅から大きくはみ出した位置に溶接で固定されているものや、ON/OFFスイッチが独立していない場合などは車検に通りません。詳しくは上記で解説しているので、参考にしてください。

パイロットランプが点灯するようにする

運転者が操作できる位置にスイッチが付いている場合は、パイロットランプのような点灯状態を確認できるものが必須となります。

パイロットランプ付きのスイッチを装備していても、パイロットランプの電球が切れているなど正常に点灯しない場合は車検に通らないので注意しましょう。自動車を車検に出す前はパイロットランプに限らず、灯火類が正常に点灯するか確認するのがおすすめです。

作業灯の保安基準に関するよくある疑問

作業灯を後付けするときや車検に通すときに、よく出る疑問と対応策について解説します。

「その他の灯火」であれば走行中に点灯してもいいのでは?

「その他の灯火として装着すれば、走行中に点灯しても問題ないのではないか?」と思うかもしれません。しかし、走行中に点灯させられる「その他の灯火」には、灯光の「色」や「明るさ」の制限があるため、本来の作業灯として機能しなくなってしまいます。

取り付け場所により色は白色が取り付けられなくなり、明るさも300cd以下という比較的暗いランプに制限されます。夜間に暗い場所を照らす作業灯として使うのであれば、作業灯の取り付け要件を満たして取り付けるほうがメリットが多いでしょう。

なぜ作業灯は走行中に点灯させてはいけない?

走行中に作業灯を点灯させてはいけないのは、まぶしくて他の交通の妨げになってしまうからです。最近では、タイヤ灯として300cdを大きく超える作業灯を走行中に点灯する車が問題になっています。

事故につながる恐れがあるため、作業灯は走行中に点灯できないような構造であるか、運転席から状態が確認できるようにする必要があるというわけです。

作業灯の保安基準を押さえて車検対策を!

作業灯を後付けする場合は保安基準を押さえて、車検時にトラブルが起きないようにしましょう。作業灯を車検に通すときのポイントは以下の3つです。

  • ・作業灯本体の取り付け位置や固定方法に問題がないか
  • ・ON/OFFスイッチが運転者の操作できない位置にあるか
  • ・運転席にON/OFFスイッチがある場合はパイロットランプが正常に点灯するか

ヤマダボディーワークスでは、多くの種類の作業灯(ワーキングランプ)を扱っています。省電力で明るいLEDや、ON/OFFスイッチが作業灯本体に付いているタイプ、防水性能を備えたものなど様々なワーキングランプがあるので、ぜひご活用ください。

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