トラックのアルミブロック用蝶番とは?取付方法や選定方法を解説
2025年2月25日
アルミブロック用蝶番(ちょうばん)は、アルミブロックをトラックの床枠に固定する部品で、いわゆる「ちょうつがい」のひとつです。取付位置やトラックの形状に合わせて、さまざまな種類があります。適切な部品を選定するためには、アルミブロックの構造や取付方法についての理解が欠かせません。
この記事では、アルミブロックの取付方法の違いや、それに基づいた蝶番の選定に必要な知識を紹介します。
目次
アルミブロックとは?
アルミブロック用蝶番を正しく選定するための予備知識として、まずはアルミブロックについて理解しましょう。
アルミブロックとは、平ボディやウイング車などのトラックにおいて、アルミの素材でできているアオリの部分を指します。標準的なスチール製のアオリと比べると、アルミブロックのほうが軽量なため、最大積載量を増やせるメリットがあります。
アルミブロックは、複数のアルミ製部品を縦方向に積み重ねて構成されるので、アオリに高さを出すことも可能です。これらの部品は上から順にアッパー(トップ)、ミドル、ロアー(ボトム)と呼ばれます。
アルミブロック用蝶番は、ロアー(ボトム)と床枠のつなぎ目に取り付けられる部品です。メーカーごとにロアーの形状が異なるため、それぞれに適合する蝶番を選定する必要があります。
アルミブロックの取付方法の違い
アルミブロックは取付方法によって、「外溝」と「中溝」という種類に分けられます。
外溝は、アルミブロックの断面を見たときに、アルミブロックの全てが床枠に載るように取り付ける方法です。そのため、外溝ではアルミブロックの外側の面と床枠の端が一直線にそろいます。
一方、中溝はアルミブロックを半分外側にずらして取り付ける方法です。アルミブロックの半分は床板に載り、もう半分は外側にはみ出た状態で取り付けられます。
外溝のメリット
アルミブロックを外溝で取り付けると、以下のようなメリットがあります。
- ・アルミブロックの外側と床枠がストレートになり見た目がきれい
- ・アオリの全てが床枠に載るので、アオリに荷重が掛かるような積載物(産業廃棄物など)の場合に強度を出せる
- ・車幅を一定の基準内に収めたいときに有効な場合がある
車両の幅は、法令により基本的に2.5m以内と定められています。また、1.7mを境に自動車の種別が4ナンバーか1ナンバーに分かれる仕組みです。
このように、車幅を一定の基準内に収めなければならない場合、サイドアオリの取付方法にも注意する必要があります。外溝で取り付けるとアオリが内側に入るため、車幅を狭くすることができます。
中溝のメリット
アルミブロックを中溝で取り付けると、荷台の容量を増やせます。アオリの半分が荷台の外側に取り付けられるため、荷台内幅が広がるからです。
たとえば、「ブロック蝶番J9中溝サイドRメッキ」を使用して、アルミブロックを取り付けた場合を考えてみましょう。アルミブロックは25mm外側にオフセットされ、左右のオフセット量を合計すると荷台内幅は50mm広がります。
トラックの荷台内幅が広がることで、積載容量が増え、より多くの荷物を運ぶことが可能になります。ただし、荷台の容量が増えても最大積載量(荷物の最大重量)が増えるわけではないので、その点には注意が必要です。
【取付方法別】アルミブロック用蝶番の選定方法
アルミブロックは、外溝か中溝かによって床枠との位置関係が変わるため、それらをつなぐ蝶番にも違いがあります。
外溝の場合
外溝の場合、サイドアオリには普通蝶番、リヤアオリにはリヤ蝶番を使用します。
外溝のサイドアオリ
サイドアオリの外溝は、普通蝶番で取り付けが可能です。アルミブロックと床枠がストレートになるので、取り付け面が平らな普通蝶番で設置できます。
ただし、メーカーによってはアルミブロックのロアー(ボトム)に段差があるため、その場合は段付きの普通蝶番を使用します。
外溝のリヤアオリ
リヤアオリの外溝の場合は、サイドアオリのような普通蝶番ではなく、リヤ蝶番を使用します。
普通蝶番でも取り付けは可能ですが、長尺物の運搬目的でリヤアオリを90度開いた際に、アオリと床面に段差ができてしまいます。その状態で積載すると、アオリの角に載ってしまい荷物が安定せず危険です。
リヤ蝶番で取り付けることにより、リヤアオリを倒したときに、リヤアオリと床面をフラットにできます。
中溝の場合
中溝では、アルミブロックが床枠の外側にずれているので、逆蝶番という種類を使用します。
逆蝶番はオス側の蝶番が外溝の逆向きにメス側の蝶番についている(片方の羽が軸を中心に180度反転する向きについている)ため、中溝のアオリのように取付位置に段差があっても適合します。
中溝のサイドアオリ
サイドアオリの中溝の場合は、逆蝶番を使うことで取り付けが可能です。逆蝶番自体に段差があるため、アルミブロックが外側にずれる分の幅を蝶番の段差に合わせて設置します。
逆蝶番の段差がサイドアオリのオフセット量になるので、アルミブロックの出幅に一致するちょうど良い逆蝶番を選定します。
中溝のリヤアオリ
リヤアオリの中溝の場合は、サイドアオリと同様に逆蝶番を使うことで取り付けが可能です。サイドアオリのように、逆蝶番の段差がアルミブロックの外側にずれる幅になるため、アルミブロックの出幅に合わせて蝶番を選定します。
まとめ
アルミブロック用蝶番は、アルミブロックをトラックの床枠に固定するための部品です。アルミブロックのメーカーやサイズ、取り付け方などによって使用する蝶番が異なるので、取り付ける際は正しいものを選定する必要があります。
ヤマダボディーワークスでは、多くの種類のアルミブロック用蝶番を扱っています。サイド用とリヤ用、外溝・中溝など用途別の種類はもちろん、ステンレス製や鉄製といった素材の異なる蝶番もあるので、ぜひご活用ください。