トラックの五方開ガセットとは?基本的な構造と取り付け方
2025年3月31日
五方開ガセットとは、その名のとおり、五方開のトラックに必要な部品です。
五方開と聞いても、どのようなトラックかイメージできない人もいるかもしれません。そこでこちらの記事では、基本的な荷台の構造もおさらいします。また、五方開ガセットとあわせて使用される柱の構造や、部品を選ぶ際の注意点についても解説します。
- ・そもそも五方開とはどのようなトラックか
- ・五方開ガセットはどのように使われているのか
目次
五方開ガセットとは?
五方開ガセットとは、平ボディーのアオリを五方開にする際、アオリの間に柱を立てるための部品のことです。まずは、五方開はどのような仕組みになっているのか、荷台の基本的な解説からはじめます。
そもそもトラックにおける五方開とは
五方開とは、トラックのアオリが5枚に分割しているものを指します。
標準的な平ボディーは三方開です。左右のサイドアオリが2枚と、リヤアオリが1枚あり、合計で3枚のアオリがあるため三方開と呼ばれます。
一方で五方開は、左右のサイドアオリが前後2枚に分かれており、アオリの合計が5枚になっているのが特徴です。五方開はそれぞれのアオリを独立して開閉できるため、荷物の積み下ろしに必要なアオリだけを開閉できるのがメリットです。
また、大型トラックの場合はサイドアオリが大きく、重量があります。分割することで、1枚のアオリを軽くすることができ、アオリを開閉する際の作業者や、開閉補助装置の負担を軽減できるといった効果もあります。
五方開ガセットはアオリの間に柱を立てるための部品
トラックを五方開にするためには、アオリとアオリの間に合計4本の柱を立てる必要があります。前側のサイドアオリと後ろ側のサイドアオリの間に1本(左右で2本)、後ろ側のサイドアオリとリヤアオリの間に1本(左右で2本)です。
これらの柱は、通常の仕様のトラックにはそのまま取り付けることができません。そこで、アオリの間に柱を立てるための差し込み口になる部品として用いられるのが、五方開ガセットです。五方開ガセットを荷台の床枠に溶接、もしくはボルト止めして取り付けることで、柱を抜き差しできるようになります。
三方開のトラックではアオリとアオリの間に柱がないため、五方開でも柱は必要ないのではと考える人もいるでしょう。しかし、五方開では特定のアオリだけを開閉したいという使用目的があるため、柱が不可欠です。
例えば、後ろ側のサイドアオリを左右とも開けたときに、リヤアオリとの間に柱がないと、リヤアオリを支えるものがなくなってしまいます。結果としてリヤアオリが意図せず後方に倒れてしまうため、怪我をしたり荷物が落下したりする危険性があります。このように、五方開では柱の存在が非常に重要なのです。
五方開ガセットの取り付け例
五方開ガセット取り付け例として、「アオリ後部角柱受 ガセット」を例に、右後部柱がどのように取り付けられるかを見ていきましょう。なお、上記の画像は、トラックの後部を右斜め後方から見たものになります。
後部柱には、差込柱材という部品がスペーサーを介して取り付けられています。差込柱材は五方開ガセット(図中の後部角柱受 ガセット)に差し込む部分であり、後部柱は荷台の上に柱として立つ部品です。スペーサーとは、柱の取り付け位置を調整するための部品です。
五方開ガセットは、荷台の床枠に固定されています。固定方法は溶接でも可能ですが、振動に耐性のあるボルト止めのほうが望ましいといえるでしょう。溶接での固定は、長年のトラックの走行による振動で、ガセットと床枠の接合部分に亀裂や割れが発生する恐れがあるためです。
五方開ガセットに柱を差し込んだら、アオリ用受金、エビ金ハンドル(サイド)、エルボ、掛金ハンドル(リア)、コの字(リア)などを使ってアオリと柱を留めます。
五方開ガセットを取り付ける際の注意点
五方開ガセットを適切に設置するには、いくつか注意点があります。ポイントを押さえて、安全に取り付けられるようにしましょう。
柱材・スペーサーは車両に合わせて都度用意する必要がある
トラックのアオリは車両ごとに仕様が異なり、それぞれ高さなどが違います。そのため、柱材はそれぞれの車両に合ったものを、その都度用意しなければなりません。
同じメーカーのトラックであっても、アオリの高さ、形状や仕様(外溝や中溝)は異なり、必要な柱材の高さやスペーサーの厚みも変わります。したがって、あらかじめ一定のサイズのパーツを生産してストックするのは難しいのが現状です。
ヤマダボディーワークスでも、五方開ガセットや後部柱用の差込柱材を販売しておりますが、上記の理由から、柱材やスペーサーの販売は行っていません。車両に合うものをお客様に用意していただく必要があります。
中間柱用ガセットに後部角材用差込柱材は入らない
ヤマダボディーワークスで販売している「アオリ後部角柱 差込柱材」は、後部用(リヤアオリとサイドアオリの間)に設計されているため、中間柱には使えないので注意しましょう。
「アオリ後部角柱 差込柱材」は、厚みが22mmあります。「アオリ後部角柱受 ガセット」は、差込柱材が入る穴の幅が23.5mmあるため、問題なく使用できます。
しかし、「五方開 中間柱用ガセット」は穴の厚みが19.5mmであるため、厚みが22mmある「アオリ後部角柱 差込柱材」を入れることができません。
このように、設置場所によって差込柱材の厚みと五方開ガセットの穴の大きさが異なるため、適合するものを選定する必要があります。
ただし、中間柱用の差込柱材はメーカーで商品化されていないため、ヤマダボディーワークスでは販売していません。
まとめ
五方開ガセットとは、五方開のアオリを持つトラックに使われている部品です。アオリとアオリの間にある柱を差し込むための部品が、五方開ガセットです。
ヤマダボディーワークスでは、中間柱を立てるための「五方開 中間柱用ガセット」や、後部柱を立てるための「アオリ後方角柱受ガセット リヤアオリ外溝用」を販売しています。また、「アオリ後部角柱 差込柱材」は、上記の「アオリ後方角柱受ガセット リヤアオリ外溝用」に適合するため、セットで使用できます。ぜひご活用ください。