アームロールで使用するコンテナとは?種類やサイズ、代表的なメーカーについて解説
2025年2月25日
アームロールとは、荷台のコンテナを着脱する装置を備えたトラックのことです。アームロールにはコンテナを動かすためのアームがあり、自力でコンテナの積み下ろしができます。
>>アームロールとは?基本的な操作方法や注意点、代表的なメーカーを紹介
この記事では、アームロールの車両ではなく、「コンテナ」に着目して解説します。運送業界で扱うコンテナには、アームロール用だけでなく他に種類があるため、混乱しないようにそれらの違いについても説明します。
また、本来の「アームロール」は新明和工業株式会社の登録商標です。今回は説明の簡略化のため、脱着装置付きコンテナ専用車を総称してアームロールと紹介しています。
目次
アームロールのコンテナとは
運送業界で「コンテナ」はなじみ深いものですが、コンテナにもさまざまな種類があります。アームロール(脱着装置付きコンテナ専用車)のコンテナとは、アームロールというコンテナを自力で荷台に積み下ろしできる機能を備えたトラックのために設計されたコンテナのことです。
アームロール用コンテナには、アームロールのフックを引っかけるリフトバーや、荷台に載せるためのレールなどが備わっており、効率的に積み下ろしできるよう専用に設計されています。
他にも、海上輸送や鉄道輸送に規格化されたコンテナもありますが、これらはアームロールで使用できるコンテナとは構造・規格が異なり、互換性はありません。海上コンテナや鉄道コンテナについては、それらの規格に対応したコンテナトレーラーなどで輸送を行います。
>>コンテナ専用トラック(コンテナシャーシ)とは?その特徴と役割
アームロールで使用できるコンテナの種類
アームロール用コンテナの中にも、いくつかの種類があり、用途に応じて使い分けられています。その一部に含まれる、以下の種類について紹介します。
- ・オープンコンテナ
- ・天蓋付きコンテナ
- ・フラットデッキ型コンテナ
- ・平ボディーコンテナ
- ・タンクコンテナ
オープンコンテナ
オープンコンテナとは、屋根がなく、上部が開いているコンテナのことです。上部が開いていることで、大きなものを積み込みやすく、クレーンでの積み込みにも対応できるメリットがあります。金属スクラップや大型の廃材の運搬によく使われます。
天蓋付きコンテナ
天蓋(てんがい)付きコンテナは、上部に蓋(ふた)がついているコンテナです。蓋には金属製のものやシートタイプなど、いくつかの種類があります。雨などから荷物を保護できるため、肥料や家畜糞尿などの運搬や飛散防止が求められる荷物に使われます。
フラットデッキ型コンテナ
フラットデッキ型コンテナは、床板だけの構造で、側壁や屋根がないシンプルな構造のコンテナです。荷物の形状やサイズに合わせて柔軟な積載が可能で、小型建機をはじめとした重機運搬などに使用されます。
平ボディーコンテナ
平ボディーコンテナは、平ボディートラックの荷台のような形状のコンテナです。側面と後方に低いアオリがあり、屋根のない構造です。平ボディーは荷物の積み下ろしが容易なため汎用性が高く、さまざまな用途で使用されます。
タンクコンテナ
タンクコンテナは、液体や気体などの輸送に特化したタンクを搭載したコンテナです。主に食品原料や燃料、化学薬品などの運搬に使用されます。液体やガスなどを安全に運搬するために、複数の安全装置が備わっています。
アームロールで使用できるコンテナのサイズ
アームロールにもさまざまな車両サイズがあるため、コンテナのサイズにも種類があります。通常、車両とコンテナの組み合わせに互換性がないといけませんが、コンテナは規格化されているので、互換性があればあらゆるメーカーの車両に対応します。
画像引用:脱着装置付コンテナ自動車 互換性に関する事例紹介|国土交通省
アームロールとコンテナの互換性は、JABIA基準適合ラベルで判断可能です。JABIAとは一般社団法人日本自動車車体工業会のことで、コンテナの互換性に関する基準を定めています。
サイズ分類ごとにラベルが色分けされており、車両とコンテナのラベルが同色であれば、互換性があると判断できます。白色や青色のJABIA基準適合ラベルが貼ってある場合は、同じ色のコンテナと脱着車の組み合わせで使用が可能です。
ただし、緑色や黄色のラベルは、強度基準に適合していることを示すラベルで、互換性を保証するものではありません。
以下では、極東開発工業株式会社のコンテナを例に、コンテナサイズの分類を紹介します。メーカーや仕様によって若干の差があるため、一例として参考にしてください。
2tコンテナ
2t車のアームロールに積載できるコンテナです。2tコンテナは、青色のJABIA基準適合ラベルでアームロールとの互換性を確認できます。
内法(mm) | 長さ | 2,800 |
幅 | 1,530 | |
高さ | 850 | |
容量(㎥) | 約3.6 |
4tコンテナ
4t車のアームロールに積載できるコンテナです。4tコンテナは、白色のJABIA基準適合ラベルでアームロールとの互換性を確認できます。
内法(mm) | 長さ | 3,600 |
幅 | 1,900 | |
高さ | 1,200 | |
容量(㎥) | 約8.1 |
大型コンテナ
大型のアームロールに積載されるコンテナのサイズは幅広く、7〜25tの間で多くのバリエーションがあります。例として、7t車専用コンテナと、25t車専用コンテナのサイズを紹介します。
<7t車用コンテナ>
内法(mm) | 長さ | 3,600 |
幅 | 1,900 | |
高さ | 1,200 | |
容量(㎥) | 約8.1 |
<25t車用コンテナ>
内法(mm) | 長さ | 8,000 |
幅 | 2,200 | |
高さ | 1,150 | |
容量(㎥) | 約20.2 |
アームロールで使用できるコンテナの代表的なメーカー
アームロール専用コンテナを製造している、代表的な企業を紹介します。車両ではなく、コンテナの製造を行っているメーカーに着目している点にご注意ください。
極東開発工業株式会社
極東開発工業株式会社は、主にトラックの架装を行っている特装車の総合メーカーです。ダンプトラックやごみ収集車などの製造・販売で国内トップクラスのシェアを誇る一方、トラック用コンテナも製造しています。
一般的なオープンコンテナだけでなく、天蓋付きコンテナやフラットデッキ型コンテナなど、特殊なコンテナの製造も手がけています。また、脱着装置付きコンテナ専用車を「フックロール」という登録商標で製造しているのが特徴です。
タニ工業株式会社
タニ工業株式会社は、トラック用のコンテナの製造や販売、出張修理を行っている企業です。トラック用のシートやラッシングベルト、ゴムバンドなど多くの製品も扱っています。他にも、汚染物除去や環境総合プラントの建設など、幅広い事業を手がけています。
標準規格脱着式コンテナや軽量規格脱着式コンテナ、水密式コンテナなど、多種類の製品がある一方で、フルオーダーメイドでのコンテナ製造も行っているのがポイントです。熟練の職人が一台ずつ手作りしているため、高い堅牢性と安全性を兼ね備えています。
株式会社瑞穂
株式会社瑞穂は、環境関連機器の総合メーカーであり、コンテナや仮設トイレなどを扱っています。脱着装置付きのコンテナ車両「W脱着つむ蔵」は、2t・4t兼用の積載仕様です。
オープンコンテナや天蓋付きコンテナ、ダンプ型コンテナ、フラットデッキ型コンテナなども展開しています。また、シャッターコンテナや防災対策用コンテナなど、トラック以外の用途での製造も手がけており、コンテナ製造に関する実績があります。
アームロールのコンテナに関するよくある質問
アームロールのコンテナにまつわる質問に回答します。安全性に関わる重要な内容なので、ぜひ参考にしてください。
コンテナにメンテナンスは必要?
コンテナを安全に使用するためには、定期的な点検と必要に応じた修理が必要です。特にアームロールのフックを引っかけるリフトバーは、日々の使用で大きな負荷がかかっている部分であり、摩耗や変形が生じる場合があります。
リフトバーが摩耗している場合は、新品への交換が必要です。限度を超えて使用すると、急にフックから外れるなど思わぬ事故につながる危険性があります。
各部品の連結部分などに損傷や変形がないか、ボルトや割りピンに緩みや外れがないかなども点検することで、安全に使用できます。
互換性のないコンテナを使うとどうなる?
アームロールとコンテナに互換性がない場合、そのまま使用すると着脱時や走行中にコンテナが落下する可能性があり、とても危険です。
コンテナの下にはレールが備わっており、アームロールに載せた際、アームロールの荷台にあるローラーに載るようになっています。
互換性がある場合は、コンテナのレールの幅とアームロールのローラーの幅が同じなので、ちょうどよく噛み合いますが、互換性がないとレールとローラーの幅が合わず、不安定になってしまいます。
互換性がないコンテナの使用は大変危険なため、絶対に積み下ろしを行ってはいけません。
まとめ
アームロール用のコンテナとは、アームロール(脱着装置付きコンテナ専用車)のために設計されたコンテナのことです。海上コンテナや鉄道コンテナとは構造・規格が異なり、アームロールとコンテナに互換性があるのが一般的です。
ヤマダボディーワークスでは、アームロール用のコンテナに関する商品も取り扱っています。ダンプパーツのヒンジやサイドゲートロック、自動シート掛けクイックなどはアームロール用のコンテナでも使用できるので、ぜひご活用ください。
ただし、自動シート掛けクイックは電源が必要になるため、車両から電源を供給するなどの対応が必要になる点にご注意ください。