コンテナ専用トラック(コンテナシャーシ)とは?その特徴と役割
2025年1月17日
コンテナ専用トラック(コンテナシャーシ)は、文字通りコンテナを運ぶために設計されたトラックです。近年では、環境負荷の低減やドライバーの人材不足の解決策として注目を集めているモーダルシフトの推進に向け、積極的な導入が進められています。
こちらでは、海上コンテナや鉄道コンテナを運ぶためのコンテナ専用トラックについて詳しく解説します。また、コンテナのサイズや種類も合わせてご紹介するので、最後までご参照ください。
目次
コンテナ専用トラック(コンテナシャーシ)とは
コンテナ専用トラックとは、海上コンテナや鉄道コンテナを運ぶために設計されたトラックで、コンテナシャーシ(コンテナシャーシトレーラー)とも呼ばれます。
荷台にコンテナの固定装置(ツイストロックなど)がついており、走行中の安全を確保すると同時に、コンテナの積み下ろしをスムーズに行える構造です。また、コンテナはISO規格に基づいてサイズや形状が統一されているため、トラック間だけでなく、船舶もしくは鉄道への積み替えも容易に行えます。
近年では、環境負荷の低減やトラックドライバーの人員不足といった社会課題に対応するため、モーダルシフトが推進されています。モーダルシフトとは、輸送のすべてをトラックで行うのではなく、環境負荷が小さい船舶や鉄道を併用する輸送方法に切り替えることです。
コンテナシャーシトレーラーは、現代における物流の効率化と環境負荷低減を両立する輸送手段の一つとして、以前にも増して積極的な導入が進められています。
コンテナ専用トラックのサイズの種類
海上コンテナトラックと鉄道コンテナトラックのサイズについて解説します。前提として、コンテナトラックにはいくつかの種類があり、単車かトレーラーかといったトラックの構造や、コンテナ輸送の用途によってサイズは異なります。
以下では、コンテナトラックのサイズの一例として、日本トレクスで製造しているコンテナセミトレーラーをご紹介します。メーカーや仕様によってもサイズが異なるため、目安としてご覧ください。
海上コンテナのトラックのサイズ
海上コンテナトラックは、20フィートコンテナと40フィートコンテナのどちらに対応するかによって、シャーシの全長が異なります。
全長(mm) | 幅(mm) | 床面地上高(mm) | |
---|---|---|---|
20フィート用シャーシ | 9,100 | 2,490 | 1,205 |
40フィート用シャーシ | 12,570 | 2,490 | 1,205 |
鉄道コンテナのトラックのサイズ
日本トレクスで製造している鉄道コンテナセミトレーラーのサイズは、以下のようになっています。
全長(mm) | 幅(mm) | 床面地上高 (mm) |
|
---|---|---|---|
低床コンテナセミトレーラー (PFC003) |
12,590 | 2,490 | 1,280 |
このコンテナセミトレーラーは、積載パターンとしてJR5tコンテナ3個、12フィートコンテナを3個、20フィートコンテナ1個+JR5tコンテナ1個、31フィートコンテナ1個のように、様々なパターンで大きさの異なるコンテナを積載できます。
コンテナ専用トラックに載せるコンテナの種類
貨物を入れるためのコンテナにも、サイズと形状によってさまざまな種類があります。積載する貨物の種類や用途ごとに、それぞれ適したコンテナが使われるのが一般的です。
コンテナにどのようなサイズと形状があるのか、順番に解説します。
海上コンテナのサイズ
海上コンテナのサイズは、ISO(国際標準規格)によって標準化されており、20フィートコンテナ、40フィートコンテナ、40フィートハイキューブコンテナが多く使われています。それぞれのサイズは、以下の表のとおりです。
一般名 | サイズ(mm) | 最大総重量(kg) ※コンテナの重量を含む |
ISO名 | |
20フィートコンテナ | 長さ | 6,058 | 30,480 | 1CC |
高さ | 2,591 | |||
幅 | 2,438 | |||
40フィートコンテナ | 長さ | 12,192 | 30,480 | 1AA |
高さ | 2,591 | |||
幅 | 2,438 | |||
40フィートハイキューブコンテナ | 長さ | 12,192 | 30,480 | 1AAA |
高さ | 2,896 | |||
幅 | 2,438 |
20フィートコンテナと40フィートコンテナを比較すると、幅と高さは等しく、長さは40フィートコンテナのほうが約2倍長くなっています。また、40フィートハイキューブコンテナは、40フィートコンテナの高さを約300mm高くしたコンテナです。
しかし、上記のコンテナはいずれも最大総重量が等しいため、20フィートコンテナは重量物や少量の貨物に利用されます。40フィートコンテナは、軽量でかさばる貨物の輸送に適しています。
なお、20フィートコンテナは前後ともにツイストロック、40フィートコンテナは前輪がロッキングピン、後輪がツイストロックとなっているのが一般的です。
鉄道コンテナのサイズ
鉄道コンテナでは12フィート、20フィート、31フィートコンテナが使われます。それぞれのサイズは以下の表のとおりです。
一般名 | 内法寸法(mm) | 積載重量(kg) | コンテナ形式 | |
12フィートコンテナ | 長さ | 3,647 | 5,000 | 19D |
高さ | 2,252 | |||
幅 | 2,275 | |||
20フィートコンテナ | 長さ | 6,007 | 8,800 | 30C |
高さ | 2,178 | |||
幅 | 2,328 | |||
31フィートコンテナ | 長さ | 9,245 | 13,800 | 48A |
高さ | 2,210 | |||
幅 | 2,350 |
鉄道コンテナで一般的に使われているのは12フィートコンテナですが、10tトラックの荷台とほぼ同じ容量を持つ31フィートコンテナも、モーダルシフトの影響により普及が進んでいます。20フィートコンテナは、一部区画の限定運用で使われています。
このように、モーダルシフトによって鉄道コンテナによる物流の効率化を図っていますが、課題も残されています。鉄道輸送は国際海上コンテナの取り扱いがほとんどないため、国際コンテナの日本国内輸送の多くが、国内輸送モードへの移行の際にコンテナの中身の詰め替えを前提としています。
そのため、インターモーダル輸送(コンテナの中身の詰め替えを必要としない輸送方法)は実現できておらず、国際海上コンテナから国内鉄道輸送へ切り替えの際にロスが発生しています。
形状
海上コンテナは、形状によって以下のような種類に分類されます。
- ・ドライコンテナ
- ・オープントップコンテナ
- ・フラットトラックコンテナ
- ・タンクコンテナ
- ・バルクコンテナ
- ・ベンチレーターコンテナ
- ・リーファーコンテナ
さまざまな種類の貨物を輸送するため、貨物に合った形状・機能を備えたコンテナが使われています。
なお、鉄道コンテナについても海上コンテナとは規格は異なるものの、同形状のコンテナが用いられます。
ドライコンテナ
画像引用:ドライコンテナ / Dry Container |海上コンテナ・冷凍コンテナ レンタル・販売|コンテック
ドライコンテナは、側壁と屋根のある箱型のコンテナで、最も基本的なタイプです。内部が密閉されており、貨物を雨や風から保護できるため、衣類や食品、家電製品など多くの貨物輸送に使われています。
段ボールや木箱、パレット積みの貨物など大量輸送に適している一方で、コンテナの内部寸法に収まらないサイズの貨物や、特殊な方法で積み下ろしが必要な貨物には向いていません。
オープントップコンテナ
オープントップコンテナは、ドライコンテナの屋根がない(もしくは取り外しができる)コンテナです。高さのある貨物を運べるほか、貨物をクレーンで積み下ろしできるメリットもあります。コンテナの上からシートで覆うことで、貨物を雨から守ります。
フラットトラックコンテナ
フラットトラックコンテナは、屋根と側壁がないコンテナです。高さがある貨物や、異形の貨物を積載できるため、重機や船舶の部品などの輸送に使われます。荷物を積み下ろしする際の制約が少なく、さまざまな形状の貨物輸送が可能です。
タンクコンテナ
タンクコンテナは、液体や気体を安全かつ効率的に運ぶためのタンクを備えたコンテナです。液体燃料や飲料水、化学薬品などの輸送に使われます。タンクは頑丈なシャーシで囲われており、輸送時や積み下ろしの振動などで液体や気体といった流動性物質が簡単に漏れない構造になっています。
バルクコンテナ
バルクコンテナとは、大量の粒状もしくは粉末状の貨物を輸送するためのコンテナです。農産物や飼料、化学品などさまざまな貨物を、包装せずにばら積みで輸送します。コンテナ上部から流し入れる設計になっており、後部のフラップドアから排出も容易にできます。
ベンチレーターコンテナ
ベンチレーターコンテナは、通気性を持つ特殊なコンテナです。外気と内気を循環させることで、コンテナパネルの結露を抑制し、内部湿度を抑えることができます。コーヒー豆や穀物など、換気が必要な貨物の輸送に適しています。
リーファーコンテナ
リーファーコンテナは、冷凍・冷蔵設備を備えたコンテナです。コンテナ内の温度を一定に調整できるため、冷凍食品や生鮮品、医薬品、化学品など温度管理が必要な貨物の輸送に使われます。トラックや船舶から電力を供給してもらい、コンテナの冷凍機や冷却装置を作動させています。
コンテナシャーシの代表的なメーカー
トラックでコンテナを輸送するためのコンテナシャーシを製造している架装メーカーについて、以下の3社をご紹介します。
- ・日本トレクス株式会社
- ・日本フルハーフ株式会社
- ・東邦車輛株式会社
日本トレクス株式会社
日本トレクス株式会社は、極東開発工業の連結子会社です。トレーラーの製造を得意としており、コンテナシャーシも多くの種類を製造しています。コンテナシャーシにはORC(横転抑制装置)を備え、安全運行にも配慮している点が特徴です。また、粉体塗装仕様は業界トップクラスの防錆性能があります。
ほかにもウイングトレーラ・バントレーラや、コンテナトレーラ並びにトラックボデー(ウイングボデー・バンボデー)、輸送コンテナ、シェルタ等、大型輸送機器の製造・販売を行っています。
日本フルハーフ株式会社
日本フルハーフ株式会社は、いすゞ自動車と資本関係にある架装メーカーです。「 20FTコンテナ積載シャシトレーラ」や「40FTコンテナ積載シャシトレーラ」、「20FTタンクコンテナ積載シャシトレーラ」などのコンテナシャーシを製造しています。
ほかにもウイング車、アルミバン、トレーラー、冷凍車など幅広い架装を行っています。
東邦車輛株式会社
東邦車輌株式会社は、新明和グループ傘下の架装メーカーです。20フィートコンテナと40フィートコンテナに対応したシャーシはもちろん、その中でも車軸の数が異なる仕様など、さまざまな種類のコンテナシャーシを製造しています。
タンクローリーやダンプ、環境整備車両などを含め、多種多様な車両を製造する企業です。
コンテナの代表的なメーカー
海上コンテナや鉄道コンテナを製造している代表的なメーカーについて、以下の3社をご紹介します。
- ・NX商事株式会社
- ・宇広コンテナ株式会社
- ・株式会社総合車両製作所
NX商事株式会社(旧:日通商事)
NX商事株式会社(旧:日通商事)は、1958年に設立された物流を中心とした複合商社です。物流サポート、物販、保健、、エネルギー、ファイナンスといった幅広い事業を展開しています。
NX商事では、複数の種類やサイズの海上コンテナや鉄道コンテナを製造しており、他にも倉庫用コンテナなども扱っています。また、コンテナのクリーニングサービスや中古コンテナ再生サービスのような、メンテナンスサービスも行っています。
宇広コンテナ株式会社
宇広コンテナ株式会社は、1988年に内航用スチールコンテナ製造のパイオニアとして創業した企業です。汎用コンテナだけでなく、個別のニーズに合わせた専用コンテナの設計や製造も行っています。
一般的なドライコンテナやオープンコンテナだけでなく、冷蔵コンテナやバルクコンテナ、タンクコンテナなど、さまざまなコンテナの製造を行っています。また、コンテナオプションとして、床板やラッシングリングなど、豊富な種類のコンテナ周辺部品も扱っています。
株式会社総合車両製作所
株式会社総合車両製作所は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)100%の子会社として設立された、鉄道車両やコンテナといった鉄道関連製品の製造に特化したメーカーです。
主に鉄道コンテナの製造を行っており、12フィートコンテナ・20フィートコンテナ・31フィートコンテナやオープンコンテナ、冷蔵・冷凍コンテナを扱っています。その他にも倉庫コンテナや小型の海上コンテナ、特殊コンテナなども扱っています。
コンテナ専用トラックに必要な免許
コンテナ専用トラックを運転するためには、車両のサイズに合った運転免許証が必要です。車両のサイズごとの免許区分は、以下の表をご覧ください。ただし、海上コンテナは大きなものだと40フィート(約12m)あるため、基本的に「大型免許」が求められます。
車両総重量 | 最大積載量 | |
---|---|---|
準中型免許 | 7.5t未満 | 4.5t未満 |
中型免許 | 11t未満 | 6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上 | 6.5t以上 |
また、コンテナトレーラーを運転するためには、けん引免許が必要です。けん引免許とは、車両総重量が750kgを超える被けん引自動車をけん引する車両を運転するために欠かせない免許です。
コンテナ専用トラックに必要な資格・届出
危険物や高圧ガスなどの特殊な貨物を運搬する場合は、危険物取扱者や高圧ガス移動監視者の資格が必要になることがあります。
火薬類ならば都道府県公安委員会に届出を行い、運搬証明書を交付してもらう必要があります。また、毒物や劇物の場合は、毒物劇物業務上取扱者を配置したうえで、都道府県知事へ届け出なければいけません。
このように危険物を扱う際は、適切な資格を取得し、必要な届出を行うことで、法令を順守し安全に輸送を行うことが求められます。
まとめ
コンテナ専用トラックとは、海上コンテナや鉄道コンテナを輸送するために設計されたトラックのことです。海上コンテナはISO規格によって標準化されており、トラック間だけでなく船舶との積み下ろしもスムーズに行えます。また、コンテナにはさまざまな種類があり、輸送する貨物に適したコンテナを使うのが一般的です。
ヤマダボディーワークスでは、豊富な種類のトラックのパーツを取り扱っています。コンテナ専用トラックに対応したパーツもそろえているので、ぜひご活用ください。