増トン車とはどんなトラック?普通のトラックとの違いを解説
2024年8月5日
増トン車とは、4tトラックの最大積載量を増やすために改造を施したトラックのことです。増トン車を効果的に使うことで、コストを抑えつつ運搬効率を高めることが可能です。
本記事では、増トン車の概要や運転に必要な免許、メリット・デメリット、サイズと積載量などについて解説していきます。
【この記事で分かること】
- ・増トン車とはどんなトラックか
- ・増トン車を運転するために必要な免許
- ・増トン車を使うメリット、デメリット
目次
増トン車とは?
中型トラックには標準的な4tトラックの他に、増トン車という種類のトラックがあります。増トン車とは積載できる荷物の量を増やすために、特別な改造を施したトラックのことです。まずは増トン車の定義や、普通のトラックの違いといった、基礎知識から解説します。
増トン車の定義
増トン車とは、最大積載量を増やす目的で特別な改造や補強を施したトラックのことで、中型トラック(4tトラック)をベースに改造したものを指します。改造後の最大積載量は改造方法やベースとなる車両の構造によるため、車両によって異なります。
各メーカーが増トン車の製造を行っていますが、ここでは日野のレンジャーの例を見てみましょう。
画像引用:シャーシラインアップ | 日野レンジャー(中型トラック) | 日野自動車
日野のレンジャーには通常の4t車も存在しますが、その他に増トン仕様のレンジャーがあります。増トン車の中には6.4tのラインアップが多く、大きいものだと8.5tや9tといった車両もあります。(画像は6.4tのもの)
中型車と増トン車の違い・見分け方
増トン車の見た目はベースとなる車両とほとんど同じです。最も簡単で確実に見分ける方法は、車両後部に記載の最大積載量を確認することです。
貨物車には最大積載量の表示が義務付けられているため、数字を確認することで4t以上の積載量があるかどうか判断できます。
また、ホイールのボルトの数でも判断できます。通常の中型トラックのホイールのボルトは6個ですが、増トン車のホイールのボルトは8個です。
そのほかには、積載能力を高めるため、シャーシやサスペンション、タイヤが強化されている点や、ロングボディになっていたり、タイヤの種類や車軸の数などが変わっていたりする場合があります。
増トン車の運転に必要な免許
増トン車は中型免許で運転できる場合と、大型免許が必要な場合があります。上記で解説したとおり、増トン車の中にも6.4tの仕様や9tの仕様などさまざまな種類が存在するためです。各運転免許証で運転できるトラックは下記のとおりです。
車両総重量 | 最大積載量 | |
---|---|---|
準中型免許 | 7.5t未満 | 4.5t未満 |
中型免許 | 11t未満 | 6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上 | 6.5t以上 |
このように、中型トラックの中は特に多くの種類があり、対応している免許証が分かりづらくなっています。
中型免許では最大積載量が6.5t未満となっています。つまり、中型免許では6.5tの増トン車は運転できますが、9tの増トン車は運転できないということです。
※運転可能な免許条件は、「車両総重量」と「最大積載量」でご判断ください。
現在は準中型免許という免許もありますが、準中型免許では増トン車は運転できず、中型免許もしくは大型免許が必要となります。
増トン車のメリット
増トン車を使う主なメリットとしては、以下が挙げられます。
- ・コストを抑えて運搬効率を上げられる
- ・車両総重量・最大積載量によっては中型免許で運転できる
- ・大型トラックより小回りが利く
それぞれ見ていきましょう。
コストを抑えて運搬効率を上げられる
増トン車の最大のメリットは、通常の4tトラックよりも一度に多くの荷物を積載でき、その上で大型トラックよりもコストを抑えられることです。初期購入費用を見ると、大型トラックは最低でも1200万〜1500万円程度かかるのに対し、増トン車は大型トラックの6〜8割程度の価格で購入できます。
重量税も、増トン車の方が安く済むことが多いでしょう。。例えば自家用の場合、車両総重量が8tより多く9t以下(エコカー外)の増トン車の場合は重量税が36,900円です。一方、大型トラックは重いものだと100,000円以上する場合があります。
メンテナンス費用も、大型トラックと比較すると、増トン車の方が安く抑えられるでしょう。例えば、タイヤが摩耗して交換する場合を考えると、大型トラックの方がタイヤの数が多く、タイヤ1個あたりのサイズも大きいため、費用がかかります。1台分のタイヤを全数新品に交換すると、大型トラックと増トン車で数十万円の差が出るでしょう。
上記の他に、保険料などにも差があります。
車両総重量・最大積載量によっては中型免許で運転できる
上記のとおり増トン車の中には、中型免許で運転できる種類があります。
大型トラックを運転するためには必ず大型免許が必要で、中型免許保有者が大型免許を取得するには以下の条件を満たす必要があります。
- ・21歳以上かつ3年以上の運転経験
- ・視力、聴力、運動能力など、健康状態の基準をクリア
- ・14時限の技能教習の受講
また費用も20万円前後かかるので、取得するのは金銭的・時間的な負担がかかります。
このような負担を避けて積載量が増やせるというのは増トン車のメリットといえるでしょう。
大型トラックより小回りが利く
大型トラックに比べて車体が小さく、通行できる道路が多いことも、増トン車のメリットです。大型トラックでは通行できない住宅街や山道なども、増トン車なら通行できる場合があります。
また、増トン車は大型トラックに比べると、駐車場の選択肢が広がります。大型トラックのサイズだと駐車可能な駐車場が限られており、探すのに苦労するケースが少なくありません。
増トン車のデメリット
増トン車にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットも存在します。
- ・4tトラックよりはコストがかかる
- ・準中型免許しか持っていない場合は中型免許以上の取得が必要
- ・運転が難しく技術が必要
順番に見ていきましょう。
4tトラックよりはコストがかかる
上記のとおり増トン車は大型トラックに比べるとコストを抑えられるものの、4tトラックと比べるとコストがかかります。また、高速道路の料金区分が大型車と同じになるという点もデメリットです。
高速道路の料金区分では、中型車と大型車によって料金の違いが出ます。車両総重量が8t未満の場合は中型車の料金が適応されますが、増トン車は8t以上になるため大型車の料金となります。
準中型免許しか持っていない場合は中型免許以上の取得が必要
増トン車は中型免許または大型免許が必要です。現在準中型免許しか持っていない場合、増トン車を運転するためには中型免許以上を取得する必要があります。それぞれの運転免許で運転できるトラックは上述のとおりです。
運転が難しく技術が必要
増トン車は通常の4tトラックよりも重量があるため、ブレーキの制動距離が長くなり、急カーブや急ブレーキ時の安定性がなくなります。さらに、道路インフラの影響で通行できない道路があるため、事前に運行経路をよく確認しておくことも重要です。
このように、増トン車を運転するためには4tトラックよりも難易度が上がります。そのため、より高度な運転技術や経験が必要です。
増トン車のサイズと積載量
トラックの最大積載量はトラックのサイズだけでなく、ボディの種類によっても異なります。実際に増トン車にどれくらいの荷物が積載できるのか、4t・6t・8tトラックそれぞれの平ボディとウイングを比較します。
4tトラック(増トン車ではないトラック)
増トン車ではなく、標準的な中型トラックです。
最大積載量 | |
---|---|
平ボディ | 3〜4t程度 |
ウイング | 2.5〜3t程度 |
このように、4tトラックでも、ウイング車になると4tの荷物を積めるわけではありません。ボディ自体の重さやウイングを動かす機構の重量が加わるため、その分積載できる荷物の量が減ってしまうためです。以下の6tトラックや8tトラックでも同様の理由で、ウィング車の積載量はやや小さくなります。
6tトラック
増トン車の中型免許で乗れるサイズの6tトラックです。
最大積載量 | |
---|---|
平ボディ | 5.5〜6t程度 |
ウイング | 5〜5.5t |
標準の4tトラックよりも最大積載量が増え、平ボディでは約6tの荷物を積載できます。
8tトラック
増トン車の8tトラックです。運転するためには大型免許が必要なサイズです。
最大積載量 | |
---|---|
平ボディ | 7〜8t |
ウイング | 6〜7t |
さらに積載量が増え、ウイング車でも6t以上の荷物を積載できます。
ヤマダボディーワークスの増トン車用パーツ
ヤマダボディーワークスで取り扱っている、増トン車用のパーツをご紹介します。取付けの可否につきましては、寸法図よりお客様にてご判断ください。
ステンレス角型フェンダー 4t増トン用 FW55型
フェンダー幅が550mmの、4t増トン車用のフェンダーです。ステンレスで高い耐久性があるため、設置前の塗装は不要です。表面に保護用の青色ビニールを貼っていますが、フェンダー自体は青色の商品ではありません。
角型フェンダー 4t増トン用 FW55型
フェンダー幅が550mmの、4t増トン車用のフェンダーです。材質が鉄製のボンデ鋼板でできており、ステンレス製と比べると安価です。ただし、ステンレスと比べると耐腐食性に劣るため、設置前に必ず塗装をする必要があります。
パーロック 丸型フェンダー 樹脂 4t増トン用 5123175
フェンダー幅が550mmの、4t増トン車用のフェンダーです。樹脂製のため鉄製のように塗装の必要がなく、そのまま設置できるため取り付け工数を削減できます。金属製のフェンダーと比較すると強度は落ちますが、サビの心配がないため積雪地や沿岸沿いなどで使うトラックにおすすめです。
トラックパーツならヤマダボディーワークスへ
増トン車は4tトラックをベースに、最大積載量を増やす目的で特別な改造や補強を施したトラックのことです。一度に多くの荷物を積めるため、4tトラックよりも運搬効率を上げることができます。また、購入費用や維持費などのコストが、大型トラックに比べると安い点もメリットです。
ヤマダボディーワークスでは、増トン車用のフェンダーのほか、様々なトラックパーツをご用意しています。シャーシ関連パーツにも、増トン車で使用できるパーツがあります。トラックごとのシャーシ寸法から計算して、適合する商品をご自身でお選びください。
トラックパーツの修理・交換の際にぜひヤマダボディワークスをご活用ください。