パッカー車とは?仕組み・種類・サイズについて解説
2024年9月30日
ごみ収集車のことを、「パッカー車」と言います。街中では家庭ごみを収集するパッカー車が毎日のように走っているため、多くの人に馴染みのあるトラックでしょう。
こちらでは、パッカー車の構造による種類の違いや、パッカー車を架装している有名な架装メーカーなどをご紹介します。
【この記事で分かること】
- ・パッカー車とはどんなトラックか
- ・パッカー車の種類
- ・パッカー車の事故事例
目次
パッカー車とは
パッカー車とは、ごみ収集車のことで、正式名称は塵芥車(じんかいしゃ)と言います。
なお、「パッカー車」という言葉は英語のpack(詰め込む)を由来とする和製英語なので、海外では通じません。英語圏では海外では「Garbage truck」や「Trush truck」などと呼ばれます。
パッカー車は荷台に廃棄物回収機能を備えることから、貨物自動車ではなく特種用途自動車という扱いです。一般的なトラックは1ナンバーや4ナンバーに分類されますが、パッカー車は8ナンバーに分類されます。
パッカー車の仕組みと種類
パッカー車は、ごみを積み込むときの圧縮方式と、積載されたごみを捨てるときの排出方式で、それぞれ以下のように分類することができます。
<圧縮方式>
- ・圧縮板式(プレス式)
- ・回転板式(巻き込み式)
- ・荷台回転式(ロータリー式)
<排出方式>
- ・押し出し式
- ・ダンプ式
それぞれ見ていきましょう。
ごみを積み込むときの圧縮形式の違い
パッカー車は荷台の後方にごみの投入口があり、投入されたごみは自動で内側の荷箱に送られて行きます。荷台後端には、ごみを荷箱に送るための装置が備えられており、この装置の構造の違いによって、パッカー車を以下の3種類に分類することができます。
- ・圧縮板式(プレス式)
- ・回転板式(巻き込み式)
- ・荷台回転式(ロータリー式)
圧縮板式(プレス式)
圧縮板式(プレス式)は、投入口に入れたごみを圧縮板と呼ばれる板で細かく粉砕し、小さく圧縮してから荷箱に送る方式です。強力な圧縮力を備えており、家具や家電も砕くことができます。
ごみを圧縮して小さくしてから荷箱に送るため、積載効率が高く、一度に多くのごみを運搬できるというメリットがあります。一般的な家庭ごみ収集車にも多く使われている種類です。
回転板式(巻き込み式)
回転板式(巻き込み式)は、投入口に備えられた回転する板で、ごみを圧縮しながら荷箱に押し込んでいく方式です。回転板が連続的にごみを押し込むため、ごみ収集を効率よく行える点がメリットです。
ただし、圧縮板式(プレス式)と比べると圧縮力は弱く、ごみを粉砕するほどの力はありません。そのため回転板式(巻き込み式)は、木くず、繊維くずの回収に向いています。
荷箱回転式(ロータリー式)
荷箱回転式(ロータリー式)は、投入口に備えられた大きな円柱型ドラムが回転し、ごみを荷箱に送る方式です。ドラムが回転し続けているため、ごみを続けて投入することが可能で、ごみを効率よく回収できます。
ただし、圧縮力が弱いため、積載量は多くありません。少量のごみを効率的に収集するのに向いています。
ごみの排出形式の違い
パッカー車が回収したごみは、ごみ処理施設などで荷台から降ろす必要があります。パッカー車には、荷箱からごみを排出する仕組みが備わっており、その排出方法によって、以下の2種類に分類することが可能です。
- ・押し出し式
- ・ダンプ式
順番に見ていきましょう。
押し出し式
押し出し式は、荷箱の奥に排出板が設置されており、排出板がごみを荷台後方に押し出して排出する方式です。排出板で強制的に押し出すため、排出力が高いのが特徴です。圧縮形式が圧縮板式(プレス式)のパッカー車に、よく押し出し式が採用されています。
ダンプ式
ダンプ式は、ダンプトラックのように、荷台を傾けることでごみを排出する方式です。自然落下によってごみを排出するため、細かいごみが残ることがあります。木くずなどを収集する、回転式のパッカー車に多く採用されています。
パッカー車のサイズの種類
パッカー車のサイズも通常のトラックと同様に小型、中型、大型がありますが、普段見かけるパッカー車のほとんどは小型か中型です。
住宅街のような道幅が狭い場所では小回りが利いた方がよいため、一般的に小型のパッカー車が使われます。また、中型のパッカー車は道幅の広い道路や、収集量が多いエリアで使われます。架装状況にもよりますが、小型・中型のパッカー車は、どちらも最大積載量が約2tになっており、一般的なごみ袋1,000袋に相当します。
大型のパッカー車は主に産業用などで使われているため、街中ではあまり見かけることはありません。大型のパッカー車の最大積載量は4tを超え、ごみ袋2,000袋に相当します。
パッカー車の主な架装メーカー
パッカー車も他のトラックと同様にシャーシは別メーカーが製造し、架装メーカーがごみ収集用の装置を取り付けます。パッカー車の架装を行っている主なメーカーは以下のとおりです。
- ・新明和工業株式会社
- ・極東開発工業株式会社
- ・株式会社モリタエコノス
- ・富士車輌株式会社
一つずつ紹介していきます。
新明和工業株式会社
新明和工業株式会社は、日本を代表する輸送機器、産業機器メーカーです。圧縮式の「G-PX」や、回転式の「G-RX」といったパッカー車を扱っています。
2012年に富士重工業の塵芥収集車事業を統合したことで、パッカー車の約60%のシェアを占めています。
極東開発工業株式会社
極東開発工業株式会社は、特装車の総合メーカーです。圧縮式の「プレスパック」や、回転式の「パックマン」、都市型ごみ収集車「スライドパック」などの、多くの種類のパッカー車を扱っています。
パッカー車の他にも、ダンプトラックやタンクローリーなど、さまざまな特装車両の架装を行っています。
株式会社モリタエコノス
株式会社モリタエコノスは、モリタグループの一員であり、特装車両の架装を行っているメーカーです。圧縮式の「プレスマスター」や、回転式の「パックマスター」などのパッカー車を扱っています。
モリタは消防車で知られている企業ですが、株式会社モリタエコノスは環境車両部門として2001年に設立されました。
富士車輌株式会社
富士車輌株式会社は、環境機械や特装車両のメーカーです。ドラム式の「ロータリープレス」や、チッピングロータリーの「APLASTAR」や「CUTICK」といった、さまざまなパッカー車を扱っています。
鍛圧機械メーカーとして1925年に創業した、長い歴史を持つ企業です。
パッカー車の使用時に気をつけたい事故
パッカー車は、取り扱いを誤ると事故につながることがあります。なかには、死亡事故につながっている例もあるため、安全面には細心の注意を払わなければなりません。以下では、パッカー車を使用する際に気をつけたい事故について解説します。
ごみ投入口への巻き込まれ事故
ごみをパッカー車に積み込む作業中に、ごみの投入口に作業員の体が巻きこまれる事故が発生しています。ごみの投入口はごみを圧縮し、荷箱に送り出す仕組みになっていますが、人の体が巻き込まれても同様の動作を続けてしまいます。特に圧縮板式(プレス式)は強い圧縮力を持っているため、巻き込まれると非常に危険です。死亡事故につながるケースもあります。
巻き込まれ事故を発生させないために、圧縮板が動いている時は絶対に投入口に立ち入ったり手を入れたりしてはいけません。点検や清掃などでやむを得ない時は、エンジンを停止させ、ごみ収集装置が動いていない状態で行います。
不適切なごみを収集することによる車両火災
不適切なごみを収集してしまうと、圧縮装置や荷箱内でごみが発火し、パッカー車が燃えてしまう事故が発生します。火災の主な原因になるのは、スプレー缶やライター、リチウムイオン電池などです。
実際に中身が残ったスプレー缶を収集した際に、パッカー車内でスプレー缶が爆発し、他のごみに飛び火してパッカーの荷台が燃えてしまったことがあります。火災事故を起こさないためには、作業員が正しい知識を持つことはもちろん、ごみを出す利用者に対して、一般ごみに危険物を混ぜて捨てないように周知することも重要です。
まとめ
パッカー車とは、ごみ収集車のことで、ごみを効率よく回収するための設備が備わっています。パッカー車はごみを圧縮する方式や、排出する方式の違いによって、いくつかの種類に別れています。
パッカー車にも小型・中型・大型のサイズがありますが、家庭ごみを収集するパッカー車は住宅街を通る必要があるため、一般的に使われているのは小型のパッカー車です。
パッカー車はごみ収集において高い利便性を備えていますが、扱いを誤ると大きな事故につながることもあるため、安全面には注意を払いましょう。
ヤマダボディ―ワークスでは、パッカー車の安全確保に役立つ、ワーキングランプ・マーカーランプを取り扱っています。
【ワーキングランプ】
パッカー車の作業中の照明確保に役立ちます。ワーキングランプには「LED」と「ハロゲン電球」のものがあります。LEDの光は指向性がまっすぐ、ハロゲン電球は光が拡散しやすい特徴がありますが、近年はLEDタイプの性能が向上しているため、LEDタイプがおすすめです。
【マーカーランプ】
運転中の車幅確認用としてマーカーランプも役立ちます。「JB 激光 LSL-201Y LEDクリスタルハイパワーマーカー イエロー/イエロー」は高輝度で非常に明るいマーカーランプです。防水通気仕様で、水滴やレンズ内部の曇りを防ぎます。