3-1アイキャッチ画像

ユニック車とは?クレーン車との違いや種類・必要な免許について解説

2024年9月2日

ユニック車とは、平ボディのトラックにクレーンを搭載した車両のことです。クレーンがあることで、人力では持ち上げられない重い荷物の積み下ろしを簡単に行えます。

こちらでは、ユニック車がどのようなトラックのことを指しているのか詳しく解説します。ユニック車の種類や、運転するために必要な免許、使用時の注意点なども合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • ・ユニック車の基本と種類
  • ・ユニック車を扱うのに必要な免許
  • ・ユニック車を使用する際の注意点

ユニック車とは

URG290AW
画像引用:URG290AW | 製品情報 | 古河ユニック株式会社

ユニック車とは、一般的に車両積載型トラッククレーンというクレーン車のことを指します。車両積載型トラッククレーンは、平ボディ荷台部分にクレーンを装備した車両のことです。

ここでは、ユニック車が使われている場所や、クレーン部の構造などを解説します。

ユニック車が使われている現場

ユニック車は配送業や建設業など、さまざまな場所で使われています

ユニック車は搭載されているクレーンで、人力で持ち上げられない資材を吊り上げることができ、そのまま荷台に乗せて運搬することが可能です。

建設現場では、重い鉄骨やコンクリートブロック、プレハブのユニットなどをユニック車で運び入れています。このような作業はユニック車を使うことで、安全かつ効率的に実施できるでしょう。

しかし、ユニック車には不向きな環境もあります。ユニック車は荷物を吊り上げた際に、車体のバランスが崩れると転倒してしまうことがあるため、アウトリガー(車体を支えるための脚)を張り出せない狭い道路や、地盤の弱い場所での使用には適しません。

各部位の名称

クレーン各部の名称
画像引用:ユニッククレーン(積載型トラッククレーン)架装物解体マニュアル|古河ユニック株式会社

上図のように、ユニック車のクレーン部は多くの部品で構成されています。その中でも主要な部品について解説します。

  • ・ブーム:荷物を持ち上げるアームの部分。長さが一定のものや伸縮できるタイプなどの種類がある。
  • ・アウトリガー:クレーンを使う時に車体が傾かないように、左右に張り出す脚のような機構。
  • ・操作レバー:クレーンを操作するためのレバー。レバーの代わりにリモコンで操作できる車両もある。
  • ・ワイヤーロープ:ブームの先端のフックや吊り具を降ろしたり、巻き上げたりするためのロープ。
  • ・油圧ポンプ:クレーンを動かすための動力を発生させるためのポンプ。

ユニック車とクレーン車・ラフタークレーンの違い

これまで解説してきたような車両積載型トラッククレーンは、一般的に「ユニック車」と呼びますが、「ユニック」とはもともと、古河ユニック株式会社が製造するクレーン車のブランド名です。ユニックが広く普及したことで、車両積載型クレーン社車全般のことを「ユニック車」と呼ぶようになりました。

クレーン車にはユニック車以外にも、いくつかの種類が存在します。その中でも主要な「トラッククレーン」と「ラフタークレーン」をご紹介します。

トラッククレーン

トラッククレーン
画像引用:OC-200N | トラッククレーン | 株式会社タダノ – 建設用クレーン車

トラッククレーンは、トラックの荷台部分にクレーンを架装した車両です。トラックを運転するためのキャビンとは別に、クレーンを操作するための操縦席があるのが特徴です。通常のトラックと同様に高速走行ができるため、長距離の移動ができるというメリットがあります。主に建設現場や工事現場で使われます。

ラフタークレーン(ラフテレーンクレーン)

ラフテレーンクレーン
画像引用:eGR-250N | ラフテレーンクレーン | 株式会社タダノ – 建設用クレーン車

ラフタークレーンとは、自走式クレーンのことです。四輪駆動の大きな車輪を持つことから悪路や未舗装道路などでも走行することができます。主に鉱山や採掘現場といった、アクセスの難しい場所でのクレーン作業に使われます。

ユニック車の種類

ユニック車には、主に以下の3種類が存在します。

  • ・キャブバック型
  • ・ハイアウトリガー型
  • ・荷台内架装型

それぞれ見ていきましょう。

キャブバック型

URG370AG
画像引用:URG370AG | 製品情報 | 古河ユニック株式会社

キャブバップ型は、クレーンがキャビンの後ろ(キャブバック)に設置されているユニック車です。荷台との間にクレーンが設置されているため、作業効率が良く、吊り上げた荷物の積み下ろしがしやすいという特徴があります。荷台のスペースを広く活用できる点もメリットです。

ハイアウトリガー型

URG370AH
画像引用:URG370AH | 製品情報 | 古河ユニック株式会社

ハイアウトリガー型は、アウトリガーを縦方向に大きく伸ばすことができるユニック車です。アウトリガーを伸ばすことで、車体を大きく傾けられます。荷台の後方から重機や車両を積載することもできます。

荷台内架装型

URP244
画像引用:URP244 | 製品情報 | 古河ユニック株式会社

荷台の中にクレーンを設置したユニック車のことです。クレーンの収納時は、クレーンが荷台内にコンパクトに収まります。荷台内仮装型は4ナンバーで登録できるユニック車もあり、1ナンバーの車両と比べると維持費を安く抑えられます。

ユニック車のサイズごとの吊り上げ荷重

小型(2t)トラック、中型(4t)トラック、大型(10t)トラックの一般的な吊り上げ荷重をそれぞれご紹介します。

なお、トラックのサイズが変わっても、対応する吊り上げ荷重は大きくは変わりません。吊り上げ荷重はトラックのサイズではなく、クレーンやアウトリガーの性能に依存するためです。

小型(2t)トラック

小型(2t)トラックのユニック車の吊り上げ荷重は、2.2〜2.63tが一般的です。中には2.9tまで対応している車両もあります。

中型(4t)トラック

中型(4t)トラックのユニック車の吊り上げ荷重は、2.63〜2.93tが一般的です。吊り上げ荷重は小型トラックとほとんど変わりありませんが、積載量を増やせるというメリットがあります。

大型(10t)トラック

大型(10t)トラックのユニック車の吊り上げ荷重は、2.63〜2.93tが一般的となっており、中型トラックと同じです。3tを超えると安全規制が厳しくなり、扱うためには書類や手続きが必要になるため、吊り上げ荷重3t未満の車両がほとんどです。

ユニック車の運転に必要な免許・資格

ベースとなるトラックのサイズに応じた運転免許証を持っていれば、公道でユニック車を運転することができます。ただし、クレーンを操作するためには、そのための免許や資格が別途必要です。ユニック車のクレーン操作に関連するものについて、以下の免許をご紹介します。

  • ・小型移動式クレーン運転技能講習
  • ・移動式クレーン運転士免許
  • ・玉掛け技能講習

小型移動式クレーン運転技能講習

小型移動式クレーン運転技能講習は、最大吊り上げ重量が1t以上〜5t未満のクレーンを操作するために必要な講習です。

講習の内容には、クレーンの基礎知識や安全作業を学習する学科と、実査の操作訓練を行う実技があります。2〜3日間の講習を終了することで、技能講習修了証が発行されます。

移動式クレーン運転士免許

最大吊り上げ重量が5t以上のクレーンを操作するためには、国家資格である移動式クレーン運転士免許が必要です。取得するためには2〜3日間の講習を受け、試験に合格する必要があります。

試験内容はクレーンの構造や法令などを含む学科試験と、操作技術や安全確認の方法などを含む実技試験です。試験に合格すると、技能講習修了証が発行されます。

玉掛け技能講習

ユニック車のクレーン操作で玉掛け作業を伴う場合は、玉掛け技能講習の受講が必要です。

玉掛け作業とは、ワイヤーロープやチェーンなどで荷物を吊り上げる作業のことです。玉掛け作業を誤ると吊り上げ中の荷物が落下する危険性があるため、正確な操作が求められます。

玉掛け技能講習は、荷物の掛け方や安全作業を学ぶ学科講習と実技講習があります。2〜3日間の講習を終了すると、技能講習修了証が発行されます。

ユニック車の利用時に気を付けたい事故

ユニック車を活用することで作業効率を大幅に向上させられますが、適切に使用しないと大きな事故につながることもあります。ユニック車で実際に起きている事故の中から、発生しやすい事例をご紹介します。

不適切な操作による横転事故

ユニック車は扱いを誤ると荷物を吊り上げる際に、車両ごと横転することがあります。横転事故は車両や荷物を損傷させるだけでなく、周囲の人やものを巻き込むことがあり、とても危険です。

性能以上の重さの荷物を吊り上げたり、アウトリガーを適切に張り出していなかったりと、さまざまな原因で横転事故が起きています。アウトリガーを十分に張り出していても、地盤が弱いとアウトリガーが機能しない場合もあります。

横転事故を発生させないためには、アウトリガーとクレーンの正確な操作だけでなく、適切な作業環境を選定することも重要です。

ブームの格納忘れによる走行中の接触事故

ユニック車はクレーン操作時だけでなく、走行中にも事故が発生する場合があります。実際に、ブーム(クレーン部分)を格納し忘れることで、ブームが架空線などに接触する事故が発生しています

ブームを格納しないと車体から大きくはみ出した状態になるため、そのまま走行すると周囲に接触するリスクが高いです。周囲のものや人を巻き込む危険性があるだけでなく、ユニック車も横転するなどして、大きな被害が出ることがあります。

クレーン使用後はブームを確実に格納することが重要です。1人で作業をしないようにしたり、運転席に目立つステッカーを貼ったりすることで対策が行えます。

荷物の落下事故

クレーンで吊り上げている荷物が落下してしまう事故です。荷物の固定が十分でない場合や、クレーンの操作をミスした場合に落下事故が発生しています。荷物が予期せぬタイミングで落下すると、周囲のものや人が下敷きになる可能性があり危険です。

事故を発生させないためには、荷物の固定方法に問題がないかよく確認し、慎重にクレーンを操作することが求められます。また、万が一に備えて吊り上げている荷物の下に入らないようにすることも大切です。

ユニック車に関するよくある疑問

ここからは、ユニック車に関するよくある疑問に回答していきます。

ユニック車はレンタルできる?

ユニック車は、レンタル業者からレンタルできます。日常的にユニック車を使用する場合は所有した方が効率的ですが、購入費用や維持費がかかります。短期間の使用や一時的なプロジェクトなどで使用する場合は、レンタルした方が費用を抑えられるでしょう。

ユニック車を購入するときの注意点は?

ユニック車を購入する際は以下のポイントを確認し、使用目的に合った車両を選択する必要があります

  • ・吊り上げ能力:車両によって吊り上げ能力が異なる。
  • ・トラックのサイズ:小型、中型、大型それぞれのユニック車がある。
  • ・クレーンの操作性:リモコンや安全装置があるかどうか。
  • ・予算とコスト:購入費用だけでなく、ランニングコストも確認する。サイズによって維持費が大きく異なる。

また、上記でも解説したとおり、ユニック車を操作するためには資格が必要です。所有している資格で使用できるか確認することも重要です。

ユニック車向けののおすすめ商品

ヤマダボディーワークスで扱っている、ユニック車に関するおすすめの商品をご紹介します。

アウトリガーベース(敷板) ハイプラ製 4t用 新型

アウトリガーベース(敷板) ハイプラ製

道路のアスファルトを保護するために、アウトリガーの接地部分に敷くハイプラ製の板です。4tユニック以下の車両に使用できます。

本製品はアスファルト保護用のため、軟弱地では使用できません。軟弱地で使用すると、本体が割れる原因となります。

アウトリガーベース(敷板) ハイプラ製 4t用 新型

3,410円

もっと詳しく見る

アウトリガーベース(敷板)格納BOX 鉄製カチオン Bタイプ

アウトリガーベース(敷板)格納BOX

アウトリガーを使用していないときにアウトリガーベースを格納するためのボックスです。上記の「アウトリガーベース(敷板) ハイプラ製 4t用 新型」を格納するのに適しています。アウトリガーベース1つに対して、アウトリガー格納BOXが1つ必要です。

アウトリガーベース(敷板)格納BOX 鉄製カチオン Bタイプ

8,470円

もっと詳しく見る

ユニック車の基礎知識まとめ

ユニック車は搭載されたクレーンを使って、荷物を積み下ろしできるトラックです。ユニック車にはキャブバック型やハイアウトリガー型、荷台内架装型といった種類があります。使用目的によって適したユニック車を選択しましょう。

ユニック車は操作を誤ると大きな事故につながることがあるため、慎重かつ確実な操作が求められます。また、ユニック車を扱うためには、車両によっていくつかの資格が必要になります。ユニック車を安全に扱うために、必要な資格は事前に取得しておきましょう。

ヤマダボディーワークスではアウトリガーベースなど、ユニック車に関する商品も取り扱っています。ぜひご活用ください。

>ヤマダボディーワークス