緑ナンバー規制強化か?

2012年9月18日

国土交通省は、トラック事業者の参入規制の見直しに着手する。5台以上としている最低保有車両台数を引き上げ、事業者の規模拡大を促す方向だ。事業者が大型化すれば、環境問題や交通安全対策に取り組みやすくなる効果が期待できるとみている。
2010年4月2日(金曜日)日本経済新聞 朝刊より

トラック事業者の参入規制強化に関する記事が掲載されました。
トラック事業者の参入規制は、おおまかに次のような経緯があります。
○1990年12月事業参入を免許制から許可制に変えた規制緩和
○2003年4月地域別に5~15台以上とされていたトラック事業者の最低保有車両台数を、全国一律で5台以上に規制緩和
以上の規制緩和により、2008年度の事業者数は1990年度の1.5倍以上に膨らみました。
ただ2008年度時点で、保有車両台数が10台以下の企業が全体の56.5%を占めており、「小規模事業者が乱立する状態」(国交省幹部)にあります。

規制緩和により、様々な弊害が出てきました。例を挙げれば、
○小規模事業者の乱立による価格競争の激化
○労働条件の悪化(長時間労働、低賃金)
○環境問題への対応(排ガス規制などに対応した車両に入れ替えられない)
○交通安全対策(整備不良などによる重大事故)

個人的には、規制は出来るだけ少なくして市場に任せた方が良いという意見です。不良な業者は、市場原理で淘汰されるからです。
しかしここ数年で、市場環境は大きく変化しました。大きなポイントは、排ガス規制の強化による車両価格の大幅上昇です。2010年度から始まるポスト新長 期規制では、大型トラックの車両価格が現行より、200万円/台も上がると聞きおよびます。これでは、小資本で運営しているトラック事業者には死活問題で しょう。
また小規模事業者は、コンプライアンスや経営システムに問題がある業者もあると思います。

ですからこの度の参入規制の見直しは、致し方ないとも思います。
ただ、最低保有車両台数の引き上げなどを巡っては、新規参入はしょうがないとしても、既存の事業者はどうするのか?猶予期間をどのような形で設けるのか?の課題が必ず出てきます。

20年程前は、大型トラックの免許を持っていれば食いっぱぐれが無い!なんて時代もありました。今はどうでしょうか?
今は産業構造の転換期。本当のパラダイムシフトです。昨日の花形産業も、今日は分かりません。ほんの数年で、規制緩和から強化に転換するような業界に身を置く人間として、深く考えさせられるニュースでした。