トラックのシャーシとは?種類ごとの違いを詳しく解説
2023年4月3日
トラックの「シャーシ」とは、荷台の下に取り付けられている金属製のフレームを指す言葉です。乗用車とトラックでは意味が異なり、「ボディ」や「フレーム」など似た意味で使われる言葉も存在するため、間違って認識している方が多い部位です。
そこで本記事では、「シャーシ」とはどの部分を指すのか、トラックに採用されているシャーシの種類、シャーシと関係性が深いパーツについて解説していきます。
目次
トラックのシャーシとは
トラックの車体は、大きく3つに分けることができます。
- ・キャブ
- ・架装
- ・シャーシ
そしてトラックの「シャーシ」とは、車体の下部に位置するエンジンやミッション、タイヤなどを取り付けて走行可能にした部分のことを言います。「フレーム」と呼ぶこともありますが、厳密には走行可能な状態を「シャーシ」、骨格のみの状態を「フレーム」と呼びます。
「シャーシ」は「枠組み」や「骨格」の意味を持つフランス語の「chassis」が由来となるため「シャシ」や「シャーシー」と呼ばれることもありますが、全て意味は同じです。
シャーシの上にコンテナを搭載し輸送可能な状態にしたものを「トレーラー」と呼びますが、現場によっては「オンシャーシ」と呼んだり、バン型トレーラー等をまとめて「シャーシ」と呼んだりすることもあります。このように、物流現場によって意味が異なることもあるため、注意しなければいけません。
ちなみに乗用車の場合、架装を支える台座部分をまとめて「シャーシ」と呼びます。
トラックのシャーシの種類
シャーシにも様々な種類があり、トラックは「ラダーフレーム」、乗用車は「モノコック」というシャーシが使われていることが一般的です。ラダーフレームの特徴や種類をご紹介します。
トラックのシャーシ
多くのトラックに使われている「ラダーフレーム」というシャーシは名前のとおり、はしごのような形状をしています。「H型フレーム」や「はしご型フレーム」とも呼ばれています。
トラックのシャーシの上には用途に合わせて様々な架装が乗るため、シャーシには高い強度が必要です。そのためトラックのシャーシには、堅牢性が高く架装のしやすいといった特徴のあるラダーフレームが採用されています。
ラダーフレームは車両の縦方向に伸びる2本のサイドレールと、サイドレールを繋いでいる複数のクロスメンバーで構成されています。多くの乗用車に採用されている「モノコック」は、キャブ部分に強度を持たせてフレームと一体化したような構造をしています。
トレーラーのシャーシ
トレーラーのシャーシに使われるラダーフレームは、「2軸シャーシ」「3軸シャーシ」という2種類があります。「軸」というのは、左右のタイヤを繋いでいる車輪軸のことです。
名前のとおり2軸シャーシには2本の車輪軸、3軸シャーシには3本の車輪軸が付いており、3軸シャーシのほうが最大積載量が多くなります。大型トラックには、3軸シャーシが使われていることが一般的です。
また、「MG付きシャーシ」という種類もあり、MGは「Motor Generator」の頭文字を取った言葉です。電動発電機を搭載したシャーシのことを指し、積載したコンテナ内の温度を一定に保つことができます。
シャーシに架装を固定するために必要なパーツ
トラックの土台部分になるシャーシには、架装を強固に固定しなければいけません。固定に必要な主なパーツは、次の通りとなります。
- ・Uボルト
- ・シャーシスペーサー
- ・滑り止め金具
- ・ディスタンスピース
具体的にどのようなものなのかを見ていきましょう。
Uボルト
Uボルトは文字通りアルファベットの「U」の字形状をしたボルトで、シャーシに架装の縦根太を上下方向に固定する役割を担います。Uボルトは取り付ける架装やシャーシのサイズによって異なるため、購入時は注意しなければいけません。
Uボルトの寸法は、シャーシ寸法+スペーサー寸法+縦根太寸法+40㎜(座金+ダブルナット)で算出することができます。また、材質は鉄製SS400相当が多く、カチオン電着塗装で表面塗装されています。
基本的にUボルトはダブルナットで固定して使用するため、1つのボルトに対し4つのナットを用意しなければいけません。ヤマダボディーワークスでは、Uボルトにナットをセットで販売しています。
シャーシスペーサー
シャーシスペーサーは、Uボルトを固定する際にシャーシへの負担を軽減する緩衝材の役割を持つ部品です。また、高さのあるスペーサーを利用することで、荷台を嵩上げすることもできます。
基本的にUボルトは、荷台が落下しないようにきつく締結する必要があります。しかしそのまま締結すると、シャーシが変形し荷台の傾きが発生する可能性があります。このような時にシャーシスペーサーを使用すれば、シャーシの変形を防ぐことが可能です。
シャーシスペーサーはプラスチックや樹脂、塩ビなど様々な種類があり、サイズも豊富に展開されています。購入前には、スペーサーのサイズ確認を忘れないようにしましょう。
ディスタンスピース
ディスタンスピースとは、Uボルトで固定する際にシャーシが締め付けによって変形するのを防ぐ潰れ留めの役割を果たします。
シャーシは、車両により高さが異なりますので切断して使用します。シャーシの内側のコの字の部分にディスタンスピースをはめ込み、Uボルトをその溝の部分に合わせてから締結します。
滑り止め金具
滑り止め金具は、シャーシに縦根太を前後方向に固定する部品です。トラックの加速や減速により、架装が前後に動いてしまうのを防止します。Uボルトで上下方向、滑り止め金具で前後方向に固定することで、シャーシに架装を強固に固定できます。
一般的に滑り止め金具は鉄製のブラケット形をしており、縦根太とシャーシに溶接されてそれぞれをボルトで固定するタイプと、最近ではシャーシの穴を利用してボルト留めするタイプもあります。荷台の形状や金具の設置場所によっては滑り止め金具の装着位置に制限が生まれることもあるため、購入前に適切な取り付け位置を決めておきましょう。
トラックのシャーシに関するよくある疑問
トラックのシャーシに関する、以下2つのよくある疑問にお答えしていきます。
- ・シャーシの折れ・ひび割れは修理できるのか?
- ・シャーシの塗装にかかる料金はどの程度か
シャーシの折れ・ひび割れは修理できる?
トラックのシャーシを構成しているフレーム部分は、経年劣化や過積載などにより塗装の剥離や錆などが起こることがあります。錆等が進むと、最悪の場合折れやひび割れが起きることがあります。
折れたりひび割れたりといった重大な損傷が見られるシャーシは、強度が落ちている可能性が高く、修理をしても強度が元に戻らない可能性が高いでしょう。無理に使用を続けると、車輪軸や架装を支えられなくなる危険性があります。著しい損傷が見られるシャーシは、修理ではなく交換するのが一般的ですが、交換するには数十万といった高額な費用がかかります。
しかし、ひび割れが起きる前のシャーシであれば、表面の塗装の施工が可能です。錆などの腐食を防ぐための塗装が経年劣化で剥がれてしまっている場合は、塗装し直すことで防錆力を保つことができます。
シャーシの塗装にかかる料金は?
シャーシの塗装は業者によって異なりますが、おおよその料金相場は以下の通りとなります。
・大型(10トン車)・・・20万円〜 ・中型(4トン車)・・・18万円〜 ・小型(2トン車)・・・14万円〜 |
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料金は単色の同色であれば低くなり、2コート塗装や大幅な色変更となると高くなる傾向があります。事前に十分な検討を行い、予算と仕上がり状態が納得できる塗装条件を選びましょう。
シャーシ関連パーツならヤマダボディーワークスへ
トラックのシャーシは、トラックを構成する重要な部品です。架装を支える役割はもちろん、走行に必要なパーツも搭載されています。
シャーシに架装を設置するには、固定するための専用パーツの準備が欠かせません。シャーシや架装の形状・大きさによって必要なパーツが異なり、不適切なパーツを取り付けると、シャーシの変形や架装の傾きなどに繋がります。購入前にサイズや数量を把握しておきましょう。
ヤマダボディーワークスなら、Uボルトやシャーシスペーサーなどのシャーシ関連パーツも豊富に取り揃えております。所有しているトラックのシャーシに合わせたサイズも見つけやすくなっていますので、ご活用ください。