スペアタイヤの点検の義務化

2018年5月29日

国土交通省方針は、大型トラック・バスのスペアタイヤや工具箱の取付状況を3カ月ごとに行う定期点検項目に追加し、点検を義務化すると新聞報道されました。
内容は、以下となっております。

【スペアタイヤの点検の義務化の報道内容】
点検基準を改正し、車両総重量8トン以上または乗車定員30人以上の大型自動車のスペアタイヤとその取付装置の状態を、事業用自動車の定期点検の基準を、3カ月ごとに行う点検項目に追加する。
点検の内容は、スペアタイヤ取付装置の緩み、がた及び損傷や、スペアタイヤの取付状態、ツールボックスの取付部の緩み及び損傷。点検整備手引も改正し、スペアタイヤの取付装置の緩み、がた、損傷がないかの点検などを加える。

国土交通省方針
2018年5月公布
2018年10月1日施行

これは、2017年10月に中国自動車道で起きたトラックのスペアタイヤ落下による事故をうけての制度改正です。
トラックボディ業界でも、ボディ構造物の経年変化や使用環境及び使用状況による脱落事故の危険性は指摘されており、点検や検査制度の必要性を訴える声はあったようです。しかしながら、点検や検査の制度化によるランニングコストの増大が壁となり制度化までは至らなかったのが内情のようです。トラックのスペアタイヤ取付装置(スペアタイヤ保持装置やスペアタイヤキャリア、タイヤハンガーとも言います)は、トラックのシャーシメーカーがラインで取り付けているパターンと、トラックのボディメーカーがそのボディの構造上後付けしているパターンの二種類があると思います。スペアタイヤ取付装置は、シャーシ構造物ともボディ構造物とも言えます。スペアタイヤ取付装置が、トラックボディ業界における点検や検査制度の構想の中にあった物かは不明です。

スペアタイヤはその構造上、鎖一本だけでスペアタイヤ取付装置に固定されております。スペアタイヤ取付装置も四本のボルトだけででシャーシに固定されております。統計上廃車まで十年以上使用するトラックですので、スペアタイヤ取付装置は長期にわたる振動や腐食に耐えねばならず、製造メーカーによる厳しい振動試験や環境試験は行われておりますが、今まで点検や検査項目に含まれていなかったのが不思議だと感じます。またスペアタイヤ取付装置には、製造メーカーの取扱説明書に、スペアタイヤ取付装置とは別にチェーンでシャーシ構造物に直接固定する二重安全装置を講じるべき旨や、定期点検の必要性などを明記しておりますが、トラックユーザー様やトラック整備業者様がそれをどの程度認識していたかも疑問です。

スペアタイヤ取付装置は、メーカーの製造物責任の範囲を超えてその使用環境や利用状況に大きく状態変化が依存し、かつ脱落すれば重大事故になりかねない装置ですので、車両総重量8トン以上または乗車定員30人以上との制限は設けないで、同様の構造を持った全ての車両を点検項目に加えるべきだと思います。

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