普通トラックの登録台数に見るトラックボディ業界の先行き

2018年2月15日

先日行われました日本自動車車体工業※の静岡分会の会合におきまして、トラックボディ業界の先行きを占う気になる最新データを頂きました。
※日本自動車車体工業とは、トラック・バンの荷台架装やバス車体、トレーラや各種特装車の製造会社等で構成する工業会。

普通トラック登録台数の推移2009年~2017年
【 普通トラック登録台数の推移2009年~2017年 】

グラフは、2009年~2017年の普通トラック登録台数の推移です。普通トラックとは一般に、積載量4トン以上のトラックを指します。
普通トラック登録台数の推移からトラックボディ業界は、リーマンショック翌年2009年の40,006台を底に2017年の95,205台まで8年連続の前年越えの右肩上がりの活況を呈してきました。これは国内の景気回復に加えて、軽油価格の下落や代替需要がこの時期に重なった事が要因ではないかと思われます。
軽油価格10円の下落は、100台規模の運送会社の場合数千万円の増益要因とも言われており、それだけ投資余力が発生します。また排ガス規制の強化に対応したトラックの代替サイクルは一般に10年と言われており、リーマンショックによる代替サイクルの延長がこの時期に重なりました。

しかしながら問題は、このグラフに表れない最新データからです。
2016年と2017年の登録台数を比較しても、対前年比101.1%と最小の前年比となっております。
加えて2017年は、年後半の9月以降4ヶ月連続の前年同月割れを記録しております。(2017年9月は、前年比73.0%)ただし2017年5月よりトラックメーカー各社が発売した、ポスト・ポスト新長期排ガス規制対応車への切替の影響も有る事を付け加えておきます。
更に大手ボディメーカーの中には、売れていないトラックメーカーの完成車(トラックボディの仕様を標準化してメーカーがカタログ販売する大量生産車。価格が安い。)の在庫を保管する為に、借地を増やしているとのうわさもあります。
これらの情報を総合するとトラックボディ業界の右肩上がりの謳歌は、潮目を迎えているとも考えられます。

ではトラックボディ業界の今後の展望をみるとどうでしょう?
物流業界では、インターネット通販の伸びによる物流量の増加が言われておりますが、総輸送量としては微減であり、ラストワンマイルと言われる手間のかかる宅配分野において大幅にトラックや人手が不足しているのが現実です。また2019年10月に予定される、消費税増税も国内の景気回復には懸念材料です。
実はトラックボディ業界に、先行して浮き沈みを経験した大型ダンプの事例があります。大型ダンプは、2011年の東日本大震災以降の復興需要により急激に生産量を伸ばしましたが、見込み発注なども重なりピーク時以降は対前年比80%まで落ちたと記憶しております。
トラックボディ業界全体では、市場規模が違いますのでここまでの落ち込みは無いと思われます。

総括しますと2018年以降のトラックボディ業界は、・緩やかに減少するも大きくは落ち込まない。・普通トラックを中心とした市場の伸びから、宅配に適した小型トラックが市場を支える。と筆者は考えます。

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