トラック あおり

トラックのアオリとは?役割や種類、周辺パーツも解説

2023年6月26日

トラックの「アオリ」は、積載した荷物が落下しないように荷台を囲っている板状の部品のことです。アオリには材質や大きさなどが異なる様々な種類が存在し、トラックの用途に合わせて使い分けられています。

また、アオリやアオリを支えている周辺パーツは使っていると劣化するため、定期的なメンテナンスや整備が欠かせません。こちらでは、アオリの役割や種類を詳しくご紹介するだけでなく、起こりやすい不具合や修理の方法なども解説します。

トラックの荷台のアオリとは?

トラックのアオリ

「アオリ」とは、トラック荷台の周囲に取り付けられている、板状の貨物を落ちないようにするための板状の部品です。アオリは平ボディやダンプ、ウイングといったトラックに取り付けられており、それぞれのボディに適した特色があります。

また、アオリは蝶番を介して荷台に取り付けられているため、外側に開閉する仕組みになっています。荷役作業の際は、アオリを開くことで効率的に貨物を積んだり降ろしたりすることが可能です。

取り付けられている場所

取り付けられている場所
画像引用元:ボディの各部の名称 | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association

トラックのアオリは、荷台の周囲に取り付けられています。側面と後面に取り付けられており、荷台の前方にはキャブや鳥居といった部品があるためアオリがありません。トラックの横に付いているアオリを「側アオリ」、後ろのアオリを「後アオリ」と呼びます。

アオリといえば、平ボディのシンプルなトラックをイメージしやすいのですが、ウイングやダンプにも取り付けられています。ボディのタイプによって、それぞれのアオリに特色があり、材質や固定方法などが異なります。

例えば、ウイングは後面が観音扉になっていることが多いため、後アオリはありません。また、ダンプトラックの側アオリは開閉せずに固定されていることが多く、後ろアオリは上開きになっていることが一般的です。

主な役割

アオリの主な役割は、貨物の落下防止です。荷台の壁面となるアオリがないと、走行中の振動やカーブなどで貨物が落下してしまいます。そのため、アオリは堅牢であることが重要です。

しかし、トラックには様々な積載物が積まれるため、アオリにも大きな負荷がかかります。使用過程で損傷したり劣化したりすることがあるため、安全に使用するためには、アオリを定期的に点検し、必要に応じた整備が必要です。

仕組みと特徴

アオリは荷台を囲うだけでなく、荷役作業が行いやすいように外側に倒せるようになっています。アオリの下側は蝶番を介して荷台に固定されているため、蝶番を軸にして開閉が可能です。アオリが閉じているときは、アオリに付いているエビ金ハンドル(バネカン)やアオリハンドル、アオリ受金といった部品で固定しています。

多くのアオリは大きな金属製の部品です。そのためアオリ自体に重量があり、大型トラックの側アオリは、作業性を上げるために2枚や3枚に分割されていることもあります。

トラックのアオリの種類

アオリには様々な種類があり、主に素材とデザインに違いがあります。また、ボディタイプや積載物によっても、アオリに求められる性能が変わるため、それぞれに適したアオリが使われています。ここでは、各アオリの種類や特徴をそれぞれ見ていきましょう。

素材

素材 特徴
・堅牢性が高いため重量物や鋭利な貨物に向いている
・重く、サビに弱い
・柔軟性がある
アルミ ・軽量でサビに強い
・堅牢性が低いため重量物や鋭利な荷物には不向き
ステンレス ・サビに強い
・傷が付きやすいため鋭利な荷物には不向き

アオリの素材は、主に「鉄」「木」「アルミ」「ステンレス」の4種類があります。それぞれの特徴を詳しく解説します。

鉄製

鉄製アオリの大きな特徴は、頑丈であるということです。重量物や鋭利な貨物を積んでも変形したり、傷が付いたりしにくいため、多くのトラックに使われています。しかし、サビに弱く、重量があるといった点がデメリットです。

鉄製のアオリはその特徴から、平ボディやダンプに多く使われています。ダンプは重量物を積載したり、負荷のかかる動きをしたりします。そのため、ほぼ全てのダンプのアオリは鉄製です。

木製

金属製ほど多くはありませんが、木製のアオリも存在します。金属製のアオリに比べると耐久性は劣りますが、サビの心配がなく、柔らかいためデリケートな荷物を運ぶのに適しています

なお、現代のメーカー製の純正平ボディで主流のアオリの素材は、「鉄製のパネル+合板(木製)」「鉄製のパネル+樹脂」です。このように、複数の素材を組み合わせて使われています。

アルミ製

アルミ製のアオリは「アルミブロック」と呼ばれ、軽量でサビに強いという特徴があります。しかし、鉄などに比べると柔らかい素材であるため、鋭利な荷物には向いていません。

これらの特徴から、アルミブロックはアオリを開閉することが多いトラックに使われています。アオリは大型になるほど重量が増していくため、開閉するために力が必要ですが、アオリが軽いと荷役作業が効率的に行えます。また、アオリを軽くすることで、その分積載量を増やせるというメリットがあります。

ステンレス製

ステンレス製のアオリは滅多に存在しませんが、ダンプなどで稀に腐食しやすい素材運搬を目的に使われることがあります。

ステンレス製のアオリは腐食に強く、アルミ製と同様に錆びにくい点が特徴です。また、ステンレスはアルミより硬く、耐久性があります。

トラックのアオリ周辺パーツ

アオリの周辺には、関連パーツが取り付けられています。構造上アオリには欠かせないパーツや、あると便利なものまで数多くの種類があります。ここでは、代表的なアオリ周辺パーツを見ていきましょう。

エビ金ハンドル/バネカン

エビ金ハンドル/バネカン

エビ金ハンドル(別名:バネカン)はアオリの横に固定されており、アオリを開閉するときに操作するハンドルです。アオリが閉じているときに、アオリをボディに固定するための役割もあります。

>ヤマダボディーワークス エビ金ハンドル/バネカン一覧

アオリハンドル

アオリハンドル

アオリハンドルはエビ金ハンドルと同様に、アオリを開閉するときに操作するためのハンドルです。構造上エビ金ハンドルが取り付けられない、リヤアオリに使われることが一般的です。アオリハンドルをアオリに固定する際は、「コノ字」という部品と組み合わせて使います。

>ヤマダボディーワークス アオリハンドル、チェーン掛、足掛

アオリ受金

アオリ受金

アオリ受金はエビ金ハンドルや、アオリハンドルを引っかけるための部品です。アオリ受金には様々な種類があり、サイド用やリヤ用、アオリハンドルの太さなどによって適合する製品が異なります。

アオリ受金はアオリが倒れないように支える重要な部品であるため、堅牢性が求められます。サビによる腐食や、変形などが見られる場合は交換が必要です。

>ヤマダボディーワークス アオリ受金一覧

蝶番・蝶番ピン

蝶番・蝶番ピン

「蝶番」はアオリと荷台を繋いでいる部品です。アオリが開閉するときの軸としての役割があり、蝶番があることでアオリが開閉できるようになっています。

2枚の板を「蝶番ピン」という軸が繋いでおり、繰り返し操作することで蝶番ピンが劣化することがあります。劣化することでアオリにガタつきがあったり、開閉しづらかったりする場合は交換が必要です。

>ヤマダボディーワークス アルミブロック用蝶番一覧

アオリ開閉補助装置

アオリ開閉補助装置

「アオリ開閉補助装置」は、重いアオリの開閉を補助するための部品です。アオリ開閉補助装置にはスプリングが内蔵されており、スプリングの力でアオリを支えています。「セイコーラック」や「アオリバランサー」といった製品が有名です。

軽トラックのような比較的小さなアオリでも、金属のかたまりであるためかなりの重量があります。大型トラックのアオリになると、アオリ開閉補助装置なしで開けるのは成人男性でも苦労するでしょう。アオリ開閉補助装置は、女性や高齢ドライバーの負担軽減にも役立ちます。

>ヤマダボディーワークス セイコーラック一覧
>ヤマダボディーワークス アオリバランサー一覧

アオリには他にも多くの周辺パーツがありますが、詳しい情報は以下の記事で説明しています。

>トラックのアオリ部品とは?トラックのアオリ周辺パーツを徹底解説

トラックのアオリに関するよくある疑問

アオリを使っていると起こりやすい不具合や、メンテナンスの方法など、よくある疑問とその解答を紹介します。

アオリが重いときに軽くする方法は?

トラックを使っていると、アオリの開閉が重くなってくることがあります。アオリの動きが以前よりも悪いと感じたら、まずはヒンジ(蝶番)に注油を行いましょう。初期症状であれば、注油を行うだけでもアオリの動きが大きく改善することがあります。

注油してもアオリが軽くならない場合は、蝶番やアオリ開閉補助装置が劣化しているかもしれません。蝶番に変形やサビによる腐食が見られる、もしくはアオリ開閉補助装置が機能していないといった異常が見られる場合は、適切な部品の交換が必要です。

また、最初からアオリ開閉補助装置が備わっておらず、アオリが重いという場合は、追加でアオリ開閉補助装置を取り付けることでアオリの開閉が楽に行えるようになります。

アオリのメンテナンス方法は?

アオリや周辺部品は使っていると損傷したり経年劣化したりするため、定期的にメンテナンスが必要です。塗装などの防錆処理を行ったり、日頃から荷台シートをかけておいたりすることで、サビや故障を防ぐことができます。

また、アオリや周辺パーツに劣化や損傷が見られる場合は、部品の交換を行ってください。開閉が正常に行えないなどの機能的な異常が起きている場合は、そのまま使用を続けると事故につながる場合もあるため、適切な修理を行いましょう。

交換や修理は自分でできる?

アオリや周辺パーツなどが劣化している場合は、新品に交換することで元の機能に改善します。交換作業は簡単なパーツもありますが、基本的には専門業者へ依頼するのがおすすめです。

アオリ周辺パーツは、溶接で固定されているものなど、着脱に専用の工具や知識を必要とするものが少なくありません。劣化や変形により、簡単に外せなくなっているケースもあるでしょう。さらに、アオリは重量部品であるため、外したときに適切に支えられないと危険です。

また、アオリは貨物が落ちないように支える部品であるため、適切に取り付けなければ走行中の事故に繋がるおそれもあります。専門的な知識や経験がない場合は無理せず、専門業者に依頼したほうが安心して使用できるでしょう。

業者に交換や修理を依頼する場合の相場は?

アオリの修理を業者へ依頼する場合の費用は、修理内容によって大きく異なります。蝶番やエビ金ハンドルのような、比較的簡単なアオリ周辺パーツであれば、数千円〜数万円で済む場合もあります。

ただし、アオリそのものが損傷していたり、腐食していたりする場合は、アオリそのものの交換が必要です。アオリを交換する場合は高額になり、10万円を超えることもあります

修理内容によって金額が大きく異なるため、アオリに不具合が発生した場合は、最初に業者に診断してもらいましょう。その際、どのような修理が必要になるのかを確認し、見積りをとるようにしてください

トラックのアオリに関する基礎知識まとめ

トラックのアオリは、貨物が落ちないように支えている重要な部品です。アオリや周辺パーツは使っていると劣化してくるため、使い勝手が悪くなるだけでなく、機能面に問題が起こることもあります。

安全に使用するためにはアオリの定期的な点検やメンテナンスが必要です。蝶番などの劣化しやすいアオリ周辺パーツは、劣化していると交換が必要になることも珍しくありません。

ヤマダボディーワークスでは、様々なアオリ周辺用品を扱っています。それぞれのパーツに多くの種類がそろっているだけでなく、多くの部品から選択するためのアドバイスもしているので、アオリのメンテナンスや修理の際はぜひご活用ください。

>ヤマダボディーワークス アオリ関連パーツ一覧